【2024年歯科医院向け】IT導入補助金の活用方法を徹底解説
最終更新日:2024/04/26
公開日:2023/01/25
「IT導入補助金」について聞いたことはあるが、歯科医院でも利用できるのか疑問に思う経営者もいらっしゃるでしょう。
この記事では、IT導入補助金の活用について検討されている歯科医院の方へ向けて、活用方法や申請・手続きの流れを徹底解説していきます。IT化の課題や現状を踏まえつつ、活用をおすすめする歯科医院やその理由、ポイントも解説します。活用例やスケジュールについても紹介しているため、IT導入補助金の活用を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
IT導入補助金とは?
IT導入補助金とは、中小企業、小規模事業者の方々が、生産性向上に役立つITツール導入の際に活用できる補助金制度です。通常枠であるA類型およびB類型、デジタル化基盤導入類型などのシステムに分かれています。
コースによって異なりますが、基本的には費用の2分の1、また最大4分の3が補助されます。IT導入に関して、通常は歯科医院が負担しなければならない経費を、補助金を活用することで軽減することが可能です。導入にかかる費用を削減し、その削減に伴う利益を別に投資できるため、多くの歯科医院が注目している補助金制度です。
歯科医院におけるIT化の課題と現状
現在、歯科医院の数はコンビニエンスストアの数を上回ると言われています。歯科医院の増加、それに伴う供給過剰等により、歯科業界は競合との激しい競争下に置かれています。
集客(集患・増患)についても、新規の患者さんが来院するのを待っているようなスタイルでは、利益を上げることは難しいことが現状です。特に都市部のような人口が密集している地域では、自院の他院との差別化がポイントとなります。このような現状を踏まえ、以下のような課題が、歯科医院経営において挙げられます。
- スタッフの確保と定着
- 歯科医師の高齢化と後継者の不在
- 運営の安定性
以上に挙げられた課題のなかでも、スタッフ、特に歯科衛生士の確保と定着は大きなポイントとなっています。たとえば、現在歯科衛生士の求人は、1人に対して約20件の求人があると言われています。優秀な人材を確保して定着させることが最大の課題と考えている歯科医院が多いのが現状です。
現在の歯科医院における深刻な課題と現状を解決するための最も有効な解決策が、歯科医院のIT化またはDX化です。そのためのサポートとして活用できるIT導入補助金は、多くの歯科医院が注目しています。
いくら補助してもらえる?
IT導入補助金には、いくつかのコースがありますが、A類型・B類型が基本的なコースです。導入に要した費用の半分が補助対象になります。A類型は最大150万円、B類型は最大450万円までが補助されます。
IT導入補助金には、デジタル化基盤導入類型もあります。デジタル化基盤導入類型は、ITツールを購入し、その導入費用やクラウド利用料が補助される点ではA類型・B類型と同じです。しかし、デジタル化基盤導入類型は、さらにPC・タブレットなどのハードウェア端末も補助対象になります。補助額や補助率は、導入費用によって異なります。
A類型・B類型については、補助額に最低金額があります。補助率が2分の1、つまり費用の半分が補助されると以下の条件を満たさなければなりません。
- A類型は最低60万円、B類型は最低で300万円の設備投資
- B類型の補助金の申請には賃上げの目標が必須(額が大きいため)
以上の条件を満たす必要があり、プロセス数にも違いが出てきます。
プロセス数とは、歯科医院が導入を考慮しているITツールが日々の業務においてどの役割を果たしているか、導入目的がいくつあるかなどを示す数です。会計ソフトや勤怠ソフトの導入を検討している場合、併せて導入することでプロセス数は増加します。B類型は、プロセス数が多く必要なため、会計ソフトなどを追加して申請額を増やすことも可能です。
IT導入補助金における対象と申請要件
IT導入補助金の対象となる医療法人は、従業員が常勤で300人以下の歯科医院または歯科クリニックです。
歯科医院またはクリニックが、IT導入補助金の対象になるには、以下の申請要件をすべて満たす必要があります。
- 交付申請時点において、日本国において登録されている個人または法人であり、日本国内で事業を行っていること
- 交付申請の直近月において、申請者が営む事業場内最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であること
- 補助事業を実施することによる労働生産性の伸び率の向上について、1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上およびこれらと同等以上の数値目標を作成すること(過去3年間に類似の補助金の交付を受けた事業者については、当該指標を強化し、1年後の伸び率が4%以上、3年後の伸び率が12%以上およびこれらと同等以上の数値目標を作成すること)
- IT導入支援事業者と確認を行ったうえで、生産性向上に係る情報(売上、原価、従業員数および就業時間、給与支給総額、事業場内最低賃金)を事務局に報告すること
さらに詳しい対象の規定は、以下のサイトをご覧ください。
▼出典:補助対象について | 中小企業・小規模事業者のみなさま | IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/applicant/subsidized-works.html?_fsi=Pvu7rI9d
歯科医院における補助の対象
歯科医院のIT導入補助金において、ソフトウェアは必ず購入する必要があります。ソフトウェアに加えて、導入コンサルティングや保守サポートといった導入費用も対象です。デジタル化基盤導入類型の場合、その対象の幅はハードウェアであるPCやタブレットにまで広がります。
最近のITツールの中にはランニングコストが発生するツールが多いですが、IT導入補助金のA類型の場合、1年間分の月額料金も2分の1が補助の対象となります。デジタル化基盤導入類型は2年間分が対象です。
IT導入補助金事業者が登録したITツールだけが、IT導入補助金の対象になるため注意が必要です。また、補助金の交付の決定前に購入されたITツールもIT導入補助金の対象外になるため注意しましょう。
IT導入補助金の活用がおすすめの歯科医院
以下に挙げられた条件にある歯科医院は、IT導入補助金の活用がおすすめです。
- DX化に向けてITツールを導入したいと考えている
- 将来の歯科医院経営に関してビジョンや数値目標がある
- ITツールの導入までに時間的な余裕がある
- 申請対象のサービス費用および1年分の月額費用を先に支払うことが可能である
以上の条件に当てはまる歯科医院の院長先生や経営者の方は、IT導入補助金を活用してください。IT導入補助金を利用することで、歯科医院のDX化、業務全般の効率化を図ることが可能です。
IT導入補助金における歯科医院の活用例
歯科医院がIT導入補助金を利用してITツールをうまく利用すれば、歯科業務の効率化を図ることが可能です。IT導入補助金における歯科医院の活用例をいくつかご紹介します。
IT導入補助金によって、各種検査機器と電子カルテの情報を連携できるITツールを導入すれば、スタッフの負担を軽減し、患者さんの待ち時間を短縮することが可能です。患者さんの情報やカルテを電子化し、検索システムによってスムーズに患者さんの情報を引き出せます。電子カルテによって患者さんの情報を管理することで、オンラインでの予約受付、患者さんの治療履歴などを自動的に連携することが可能です。患者さんの情報を紙によって管理することは、紛失のリスクがありますが、電子カルテならデータの保存や管理も容易になり、セキュリティ強化にもつながります。
IT導入補助金によって、医療機器や薬品、消耗品などの在庫を管理するITツールを導入すれば、スタッフの手間を減らし、効率化することが可能です。在庫管理を自動化するツールを導入することで、PCやタブレットでいつでも在庫を把握できます。また、在庫が規程以下になった場合には自動的に発注してくれるような環境を作り出すことも可能です。
IT導入補助金によって、レセプト管理のIT化が可能です。歯科医院の業務において間違えが許されず手間と時間がかかるレセプト業務ですが、ITツールを導入することでスタッフの作業時間を短縮し計算の正確性も向上します。電子カルテや点数計算の情報と連動させることで、大幅な効率化を期待できます。
IT導入補助金によって、固定電話で患者さんの情報を管理できるITツールを導入することで、同居している家族の患者さんを把握することが可能です。それにより、一緒に暮らす家族の治療状況の連絡や、自宅でできる家族ぐるみの歯科ケアの推奨につながります。同居している家族の成員への気遣いは、患者さんとの信頼関係の確立に寄与することでしょう。
IT導入補助金の申請に必要な書類
IT導入補助金の申請に必要な書類は、個人事業主、法人によって異なります。個人事業主の歯科医院がIT導入補助金の申請に必要な書類は、以下の通りです。
- 本人確認書類(有効期限内の運転免許証もしくは運転経歴証明証または発行から3か月以内の住民票)
- 事業継続確認書類1(税務署の窓口で発行された直近分の所得税の納税証明書)
- 事業継続確認書類2(税務署が受領した直近分の確定申告書Bの控え)
IT導入補助金の申請・手続きの流れ
IT導入補助金の申請および手続きの流れを大まかにご紹介します。
歯科医院におけるIT導入補助金の申請は、基本的に歯科医院側で申請が必要ですが、支援事業者がないと申請できないシステムになっています。歯科医院単独での申請はできないため注意が必要です。
IT導入補助金の手続きについては、まず補助金制度についての概要を理解し、ITツールを選択した際に支援事業者と協力して交付の申請を行います。歯科医院は、交付審査が採択された後に、ITツールの購入を行うことが可能です。交付決定が行われてからでないとITツールの購入はできないため注意しましょう。その後、実績報告として事務局に申請を行うことで、歯科医院への補助金の入金が行われます。
支援事業者は、歯科医院に対するITツールの説明や導入、運用方法の相談などのサポートを行います。また、IT導入補助金の交付申請や実績報告などの事務局に提出する各種申請および手続きなどの管理業務を行います。IT導入補助金において、申請側の歯科医院と支援事業者の連携は重要なポイントです。
IT導入補助金のスケジュール
2023年のIT導入補助金のスケジュールは以下の通りです。
通常枠の申請は、以下のスケジュールで行われます。
1次締切分:
申請締切日:2023年4月25日(火)17:00
交付決定日:2023年5月31日(水)(予定)
2次締切分:
申請締切日:2023年6月2日(金)17:00(予定)
交付決定日:2023年7月11日(火)(予定)
セキュリティ対策推進枠の申請は、以下のスケジュールで行われます。
1次締切分:
申請締切日:2023年4月25日(火)17:00
交付決定日:2023年5月31日(水)(予定)
2次締切分:
申請締切日:2023年6月2日(金)17:00(予定)
交付決定日:2023年7月11日(火)(予定)
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の申請は、以下のスケジュールで行われます。
1次締切分:
申請締切日:2023年4月25日(火)17:00
交付決定日:2023年5月31日(水)(予定)
2次締切分:
申請締切日:2023年5月16日(火)17:00(予定)
交付決定日:2023年6月21日(水)(予定)
3次締切分:
申請締切日:2023年6月2日(金)17:00(予定)
交付決定日:2023年7月11日(火)(予定)
▼出典:スケジュール | IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/schedule/
IT導入補助金におけるポイント
IT導入補助金を申請しようと考えたとき、まず行うべきことはGビズIDの取得です。ID導入補助金を申請する上で必要なIDのため、すぐにでも取得しましょう。GビズIDの取得自体は簡単ですが、申込からアカウントが発行されるまでに1か月近くの期間を要します。できるだけ早く取得するための申込を行うことをおすすめします。
さらにIT導入補助金におけるポイントは、締切日よりも早いタイミングで申請を行うことです。補助金は申請を行うと事務局が審査を行い、採択または不採択が決定します。傾向として、締切日より早いタイミングで申請を行うと採択率が高い傾向にあるようです。
仮に採択されなかったとしても、次の公募に申請できるため、準備を進めておきましょう。
まとめ
この記事では、IT導入補助金の活用について検討されている歯科医院の方へ向けて、活用方法や申請・手続きの流れなどについて徹底解説してきました。IT導入補助金の申請は期限が定められているため、スケジュールに余裕をもって行いましょう。
歯科医院の増加、それに伴う供給過剰等により、歯科業界はきびしい競争下に置かれています。そのような現状に伴い歯科医院では、スタッフの離職、採用難による人手不足などが課題となっています。そのような課題を解決するための方法の一つが、ITツールの導入です。ITツールの導入は、業務の効率化やスタッフのスキルアップを実現し、スタッフの確保と定着、そして歯科医院運営の安定につながります。
IT導入補助金によりITツールを自院に導入し、事業を効率化させ、運営を安定させるのはいかがでしょうか。
お問い合わせはこちら
執筆者
株式会社ITreat
Webディレクター/リーダー
大手求人情報誌のデザイナー、インハウスのWebデザイナーを数年経験。Webディレクターに転身後、Web事業を展開している上場企業を経て、2019年に株式会社ITreat入社。現在は病院・クリニック・リハビリ施設サイトのディレクションを担当。社内外のSEO対策にも従事。
Related Posts
関連記事