【2024年病院・医療機関向け】IT導入補助金の活用方法を徹底解説

補助金/助成金/給付金

最終更新日:2024/04/26

公開日:2023/01/25

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現在、医療機関の効率化を図るうえで、IT化は必須条件です。しかし、電子カルテやレセコンなどIT機器を一式そろえることは金銭的に負担になるでしょう。「資金不足」を解決してくれる手段に、「補助金」の活用が挙げられます。

この記事では、病院やクリニックが利用できる補助金の一つである「IT導入補助金」について徹底解説します。IT導入補助金の活用方法や申請・手続きの流れ、また申請時のポイント、導入事例、スケジュールについてもご紹介します。病院やクリニックを経営されている院長先生は、ぜひ参考にしてください。

【2024年歯科医院向け】IT導入補助金の活用方法を徹底解説
IT導入補助金とは? IT導入補助金とは、中小企業、小規模事業者の方々が、生産性向上に役立つITツール導入の際に活用できる補助金制度です。通常枠であるA類型およびB類型、デジタル化基盤導入類型などのシステムに

IT導入補助金とは?

IT導入補助金とは、中小企業、小規模事業者等に対してITツール導入のための経費の一部を補助する補助金制度のことで、業務の効率化、集客(集患・増患)をサポートするものです。IT補助金の正式名称は、「サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金」です。

補助金を受け取るためには、審査で合格する必要があります。また、ITツールならばどれも補助金の対象ではなく、病院またはクリニックが導入したいソフトやサービスが、IT導入補助金の導入対象になっている必要があります。

IT導入補助金の種類と対象

IT導入補助金は、いくつかの種類に分類されています。主な種類の分類は、以下の通りです。

  • 通常型(A類型・B類型)
  • デジタル化基盤導入類型

通常型」のA類型とB類型の違いは、補助金の申請額にあります。A類型の支給額は「30万円以上150万円未満」、B類型の支給額は「150万円以上450万円以内」です。補助率は、A類型、B類型ともに2分の1、つまりITツール導入費用の自己負担が半額になります。A類型とB類型の申請条件には、スタッフの賃上げ要件や業務プロセスの数などいくつかの違いがあります。

デジタル化基盤導入類型」は、中小企業、小規模事業者を対象に、インボイス制度の対応を見据えたデジタル化を一挙に推進するために設立されました。会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトなどのITツールの導入費用に加え、PC、タブレット端末、レジ・販売機などのハードウェア導入費用を優先的に支援します。

どのようなITツールが補助金の対象となるか、イメージがつかない方もいらっしゃるでしょう。IT導入補助金の対象となるITツールは、IT導入支援事業者が事前に事務局に登録申請を行い、外部審査委員会等の審査を通過して事務局に登録されたものだけです。IT導入補助金で登録されたITツールには、業務効率化のために新たに導入される「ソフトウェア製品」や「クラウドサービス」などがあります。また、デジタル化基盤導入類型の対象となるITツールに関しては、会計、受発注、決済、ECの機能を1種類以上含んでいるソフトウェアが必須条件となります。

医療業界でIT化が進んでいない理由と課題

テクノロジーの発展にともない、病院やクリニック向けに多くのITツールやシステムが開発されてきました。しかし、医療業界において現場のIT化はあまり進んでいません。

医療業界でIT化が進んでいない理由と課題には、主に以下の点が挙げられます。

  • 複数ある部署での合意困難
  • 業務フローを混乱させる恐れ
  • 電子カルテと連携できない

医療業界でIT化が進んでいない理由の一つは「複数ある部署での合意困難」です。病院によっては、各部署においてそれぞれ独自のシステムを使っているケースがあります。このことは、老朽化したシステムの一新や、最新のITシステムの導入が検討されても、関係部署の合意に時間がかかったり、病院内で不満が出て不合意になったりする可能性もあるでしょう。

業務フローを混乱させる恐れ」があることも、医療業界でのIT化が進んでいない理由の一つです。業務フローにとって、ITシステム導入が本当に業務効率化につながるのか、また院内スタッフだけでなく、ITシステムを利用する患者さんにとっても使いやすいものなのかを検討する必要があります。

医療業界でのIT化が進んでいない理由の一つに「電子カルテと連携できない」ことも挙げられるでしょう。ITシステムによっては、特定のメーカーの電子カルテにしか対応していない製品もあります。またクラウド型には対応していても、オンプレミス型には対応していないシステムもあります。事前によくITシステムを選定することが必要です。

医療機関(病院・クリニック)がITシステムを導入するメリット

病院やクリニックがITシステムを導入すれば、経営面のさまざまな問題や課題を解決することが可能です。医療機関がITシステムを導入するメリットについて見てみましょう。病院やクリニックがITシステムを導入するメリットには、主に以下の3つが挙げられます。

  • 業務効率化の実現
  • 人件費削減の実現
  • コロナウイルス感染症対策の実現

病院やクリニックがITシステムを導入すれば、「業務効率化の実現」が可能です。院内文書や書類などを紙ベースで管理していると、さまざまな手作業が発生します。手作業には手間がかかり、記入ミスなどのリスクもあります。病院やクリニックは、ITシステムを導入すれば、ペーパーレス化を図ることができ、業務効率化につながるでしょう。

病院やクリニックがITシステムを導入するならば、業務の生産性を高めることができ、「人件費削減」につながります。人件費削減は医療機関の経営面において、大きな課題の一つです。独立行政法人福祉医療機構が2022年9月に行った「病院経営動向調査」によると、経営上の課題として「人件費の増加」を、50%以上の病院が挙げていることを示しています。
ITシステムを導入し病院やクリニックにおける業務を効率化することで、サービスの質を維持しながら人件費を削減することが可能です。

▼出典:病院経営動向調査|WAM
https://www.wam.go.jp/hp/hp-survey/

病院やクリニックがITシステムを導入することで、「コロナウイルス感染症対策の実現」にもつながります。医療機関でもクラスター事例が発生していますが、その原因の一つが院内で持ち運ぶ書類です。書類の消毒は難しく、病院やクリニックのスタッフの他にも、患者さんの院内感染リスクを高める要因ともなってきました。しかし、ITシステムを導入することによって、院内書類を電子化し、消毒が可能な電子機器を院内で持ち運べるようにすれば、院内感染のリスクを減少させることが可能です。

医療機関(病院・クリニック)におけるIT導入補助金の導入事例

医療機関におけるIT導入補助金の導入事例を見てみましょう。IT導入補助金の導入事例は、多くの場合、スタッフの業務の効率化につながっています。医療機関において行われている業務は複雑で、さまざまな部署との連携が重要です。IT導入補助金の導入によって可能になる「業務の効率化」は、病院やクリニックの経営において重要です。

導入事例にはいくつかありますが、ITシステムを導入することによって、病院やクリニックが抱える課題解決につながった事例をご紹介します。

治療履歴の管理

IT導入補助金の導入によってITシステムを利用することで、患者さんの個人情報と電子カルテに記載されている治療履歴をリンクさせることが可能になりました。このことは、スタッフの業務効率化につながります。たとえば、患者さんの情報が自動で電子カルテへ連携されているため、予約の重複を避けることが可能です。また、Webでのオンライン予約システムを導入することで、スマホからいつでも予約が可能になり、利便性のアップによる集客(集患・増患)にも寄与しています。

また、電子カルテへの入力作業や転記作業が削減されるため、スタッフの負担を減らすことにもつながります。手書きカルテから電子カルテへ変更することで、レセプトもリアルタイムで連携でき、会計にかかる時間も削減されました。自動精算機を導入することで、煩雑だった計算の正確性も上がり、患者さんの待ち時間短縮にもつながります。

在庫の管理

医療機器や消耗薬品などは常にストックしておきたいですが、アイテムが多いほど在庫の管理に時間がかかり、スタッフにも負担になります。ITシステムの導入により、医療機器や消耗薬剤などの在庫が規定値以下になった場合に、自動的に発注できるようになりました。このことで、多品種の情報管理や在庫管理に関するスタッフの業務効率化の実現につながります。

患者情報の管理

IT導入補助金を利用し、電子カルテに院内のチャットワーク機能を組み合わせて利用できるITツールを導入することで、院内全体で患者さんの情報を共有しました。このことで、患者さんへのお知らせなども確実に行えるようになり、患者さんとの信頼関係も高まります。伝え漏れや聞き間違いが起こるリスクも減少します。

勤怠の管理

ITシステムの導入により、院内のシフトすべてを勤怠管理ソフト上で作成できるようになりました。毎回の出退勤もPC上で管理することが可能になり、給与計算にかかるスタッフの負担も軽減されています。

IT導入補助金の申請・手続きの流れ

IT導入補助金の申請および手続きの流れについてご紹介します。医療機関以外の分野であっても、同じ流れで申請および手続きが可能です。主な流れに関しては、以下の通りです。

  • IT導入支援事業者の選定と導入したいITツールの選択
  • 交付申請のために必要な「gBizIDプライム」アカウント取得、および「SECURITY ACTION」の実施
  • 交付申請
  • 補助事業の実施
  • 事業実績報告
  • 補助金交付手続き

まず始めに、「IT導入支援事業者の選定と導入したいITツールを選択」しましょう。IT導入補助金においては、事務所に登録されているIT導入支援事業者と協力して、補助金の導入、事業の効率化を進めていきます。IT導入支援事業者の選定や対象のITツールの一覧は、公式ホームページで検索することが可能です。

IT導入補助金の交付要件に「gBizIDプライム」アカウントの取得と、「SECURITY ACTION」の宣言が必要です。「gBizIDプライム」とは、アカウントを取得することでさまざま行政サービスを受けられるシステムのことです。IT導入補助金の申請または手続きは、gBizIDプライムを使って行われます。「SECURITY ACTION」とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって定められたセキュリティ対策を実施するという宣言をする制度です。「一つ星」または「二つ星」の内容を宣言することが要件として定められています。

▼Gビズのアカウント取得はこちら|GビズID
https://gbiz-id.go.jp/top/

以上の内容の事前準備ができたら「交付申請」を行います。IT導入支援事業者とともに事業計画書を作成しましょう。事業計画書の作成が完了すると、IT導入支援事業者から「申請マイページ」の招待を受けます。gBizIDプライムを利用してログインし、必要事項の入力や書類を添付して交付申請を行いましょう。交付申請を行った後、外部審査委員会が申請を受理すれば、交付が決定するという流れです。

交付が決定したら、提出した事業計画書の内容に基づいて事業を実施しましょう。交付決定の連絡が来る前にITツールの発注、契約、支払い等を行った場合は、IT導入補助金を受け取れないため注意してください。必ず、交付決定の通知が来た後に事業を実施しましょう。

事業計画書に沿って事業を実施したら、事業実績を事務局に報告しましょう。実際にITツールの発注、契約、納品、支払い等を行ったことが分かる書類を提出します。虚偽申告などによって交付が取り消されてしまうこともあるため注意が必要です。領収書などは必ず保管しておきましょう。

事業実績を事務局に報告し補助金額が確定すると、「申請マイページ」で補助金額を確認できるようになります。内容を確認した後に、IT導入補助金が交付されます。

IT導入補助金のスケジュール

2023年IT導入補助金のスケジュールは以下の通りです。

IT導入補助金の通常枠の申請スケジュールは、以下の通りです。

1次締切分
締切日:2023年4月25日(火)17:00
交付決定日:2023年5月31日(水)(予定)

2次締切分
締切日:2023年6月2日(金)17:00(予定)
交付決定日:2023年7月11日(火)(予定)

IT導入補助金のセキュリティ対策推進枠の申請スケジュールは、以下の通りです。

1次締切分
締切日:2023年4月25日(火)17:00
交付決定日:2023年5月31日(水)(予定)

2次締切分
締切日:2023年6月2日(金)17:00(予定)
交付決定日:2023年7月11日(火)(予定)

IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)の申請スケジュールは、以下の通りです。

1次締切分
締切日:2023年4月25日(火)17:00
交付決定日:2023年5月31日(水)(予定)

2次締切分
締切日:2023年5月16日(火)17:00(予定)
交付決定日:2023年6月21日(水)(予定)

3次締切分
締切日:2023年6月2日(金)17:00(予定)
交付決定日:2023年7月11日(火)(予定)

スケジュールは、追加や変更になる場合があります。公式ホームページより最新情報を確認してください。

▼出典:スケジュール | IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp/schedule/

IT導入補助金における申請時のポイント

IT導入補助金における申請時のポイントをご紹介します。ポイントにはいくつかありますが、主な申請時におけるポイントは以下の点です。

  • IT導入支援事業者と良いコミュニケーションを図る
  • 提出書類の発行期限などに気を付ける

IT導入補助金の申請は、事務局に登録されたIT導入支援事業者によく相談し、自院の生産性向上に寄与するITツールを選択することが重要です。厚生労働省は、医療情報を標準化するための規格を設けています。この「厚生労働省標準規格」では、医療分野におけるツールに関して「厚生労働省標準規格に基づいたデータの共有や二次利用を円滑に行うことが可能なツール」と定めています。IT導入支援事業者と良いコミュニケーションを図り、自院の生産性向上につながる規格に合ったITツールを選択することが重要です。

IT導入補助金の申請時は、提出書類の発行期限などに気を付ける必要もあります。法人でない個人事業主の場合、IT導入補助金の申請にはいくつかの書類が必要ですが、発行日などに気を付けましょう。必要な書類は、以下の通りです。

  • 身分証明書
  • 住民票
  • 所得税納税証明書
  • 所得税確定申告書B

「身分証明書」は、運転免許証と運転経歴証明書が必要ですが、提出の際、申請日が有効期限内であることを確認しましょう。身分証明書の裏面に記載がある場合、裏面も提出します。

「住民票」は、IT導入補助金の申請日時点で発行日から3か月以内であることが必要です。
「所得税納税証明書」の注意点は以下の通りです。

  • 納税証明書(「その1納税額等証明用」または「その2所得金額用」であること)
  • 税目が所得税であること(消費税では認められない)
  • 直近分であること
  • 発行元が税務署であること

「所得税確定申告書B」は、税務署が受領していることが分からなければなりません。

病院が医療法人である場合は、以下の書類が必要です。

  • 履歴事項全部証明書(申請日から3か月以内に発行されたもの)
  • 法人税の納税証明書(その1とその2の提出が必要)

「履歴事項全部証明書」とは、補助金や助成金を申請する際や、銀行から融資を受けるときなどに必要になる、法人の登記事項を証明する書類のことです。

まとめ

この記事では、病院やクリニックが利用できる補助金の一つである「IT導入補助金」について徹底解説してきました。

現在、医療機関の効率化を図るうえで、IT化は必須条件です。今後、医療機関の経営は、より柔軟性のある診療方法によって前進していくことでしょう。電子カルテやレセコンなどIT機器を一式そろえることは金銭的な負担となりますが、IT導入補助金を上手に利用するなら経営安定につながります。

IT導入補助金によりITツールを自院に導入し、事業を効率化させ、運営を安定させるのはいかがでしょうか。

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S・OGAWA

執筆者

S・OGAWA

株式会社ITreat

Webディレクター/リーダー

大手求人情報誌のデザイナー、インハウスのWebデザイナーを数年経験。Webディレクターに転身後、Web事業を展開している上場企業を経て、2019年に株式会社ITreat入社。現在は病院・クリニック・リハビリ施設サイトのディレクションを担当。社内外のSEO対策にも従事。

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