歯科医院を継承開業するメリット・デメリット、手続きのポイントは?
最終更新日:2024/05/14
公開日:2023/02/09
運営されている歯科医院を譲り受け開業する継承開業。新規開業よりも初期費用を抑えられ、集患の時間も短縮できるため、現在注目されている歯科医院の開業方法です。
この記事では、歯科医院の継承開業にかかる費用や費用の相場、よくあるトラブルや手続きの注意点、成功するためのポイントについて解説します。継承開業を検討されている先生方は、ぜひ参考にしてください。
医院継承とは?
医院継承とは、すでに開業されている歯科医院の運営を受け継ぐ運営方法です。クリニック継承や医業継承とも呼ばれる場合があります。
近年、少子高齢化問題に伴う経営者の後継者不在問題、病院や歯科医院の後継者問題も深刻化しています。多くの医療機関が休業、廃業、解散などの事態に追い込まれている最大の要因は経営者の高齢化です。歯科医院の休業、廃業、解散などが増大しているなか、多くの歯科医師や経営者から注目を集めているのが「医院継承」です。
継承開業とは?
継承開業とは、前述した通りすでに開業している歯科医院の院長先生から歯科医院を譲り受け、新たに開業する開業方法です。継承開業には、以下の3つの方法があります。
- 親族内継承
- 親族外継承
- 第三者継承
「親族内継承」は、親戚や血縁関係にある人に歯科医院を継承する方法です。「親族外継承」は、親戚以外の勤務医や知人に継承する場合と、第三者に継承する場合があります。「第三者継承」は、第三者に歯科医院の合併や買収により継承する方法です。
継承開業で引き継げるものは、土地や建物だけではありません。医療機器や患者さんのカルテ、合意のもとで今まで勤務していたスタッフも継続して雇用することが可能です。
たとえば、後継者がいない歯科医院の院長先生と、開業したいけれど勤務医を続けている歯科医師、この双方の問題を解決してくれる方法が、この継承開業です。新規開業と比べて歯科医院の開業にかかる初期費用を安く抑えられます。さらに、リスクを抑えて開業できる仕組みのため、歯科医院開業の平均年齢より早いタイミングで開業できる場合があります。
歯科医院の事業売却や事業譲渡とは?
事業売却や事業譲渡とは、会社や個人事業を売買する合併や買収の方法の一つで、株式ではなく事業資産を金銭で売買する取引きです。
歯科医院の事業売却や事業譲渡となると、事業売却・事業譲渡が持分ありの場合、持分譲渡で合併や買収を行います。なぜなら、歯科医院が、医療法人または個人事業主のどちらかで運営されているためです。
個人事業主の場合は、必ず事業売却・事業譲渡を利用しますが、医療法人の場合は、事業売却・事業譲渡、持分ありの場合は持分譲渡のどちらも利用できます。
歯科医院の事業承継や事業売却・事業譲渡が増えている理由
近年、歯科医院の事業継承や事業売却・事業譲渡が増えている3つの理由があります。
- 院長先生の高齢化による引退
- 歯科医院の廃止が増加
- 合併・買収の増加傾向
「院長先生の高齢化による引退」は、歯科医院の事業継承や事業売却・事業譲渡が増えている理由の一つです。厚生労働省の調査によると、2018年の歯科医院の院長先生の平均年齢は約58歳との調査結果があります。1990年ごろの調査では平均年齢が46歳のため、上昇傾向にあることは間違いありません。同じ調査で歯科医院における60歳以上の歯科医師の比率は34%であり、多くの院長先生が引退する可能性があります。
「歯科医院の廃止が増加」しているのも、歯科医院の事業継承や事業売却・事業譲渡が増えている理由です。歯科医院の数は、2012年と2013年には増加傾向でしたが、2014年から減少傾向にあり、2019年の調査では歯科医院の数が113も減少しています。
「合併・買収の増加傾向」も、事業継承や事業売却・事業譲渡が増えている理由の一つです。このことは歯科医院や医療業界に限らず全業種にみられる事柄です。この傾向は、今後も増加していくでしょう。
▼参考:平成 30(2018)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/18/dl/gaikyo.pdf
歯科医院の継承開業にかかる費用・相場
歯科医院の継承開業にかかる費用をまとめてみましょう。継承開業にかかる主な費用は、以下の通りです。
- 譲渡代
- 仲介手数料
- 弁護士費用
- 医師会入会金
- 内装費用
- 医療機器代
継承開業において、かかる費用の大部分は「譲渡代」です。譲渡代は、営業権と譲渡対象資産を合計したものを支払います。引き継ぐ歯科医院の所在地や評価によって金額は変わりますが、一般的な相場は2,000万円~4,000万円程度です。
歯科医院の継承年齢は?
開業に必要な経験や能力を身につけ、必要な自己資金を準備し、20年以上の歯科医院の運営を考慮すると、歯科医院の継承開業の適齢期は40代から50代前半です。
継承開業では譲渡側と承継者がともに勤務する必要があるため、引き継ぎには時間がかかります。こうしたことからも、承継する親族や第三者の譲受人は、40代から50代前半が望ましいと言えます。
歯科医院の継承開業、事業売却・事業譲渡のメリット
歯科医院を継承開業、事業売却・事業譲渡する際は、それぞれのメリットを理解しておくことが重要です。歯科医院の継承開業、事業売却・事業譲渡のメリットをいくつか見てみましょう。
継承開業のメリットの一つに、「コストを抑えて開業できる」ことがあります。継承開業には多額の譲渡費用がかかりますが、歯科医院の新規開業と比べると開業費用を安く抑えることが可能です。さらに、前歯科医院の患者さんを受け継ぐことが可能なため、歯科医院の運営が軌道に乗るまでの準備期間を短縮できます。スタッフを継続雇用する場合、採用費、研修コストなどを削減することも可能です。
歯科医院の事業売却・事業譲渡のメリットは、医療法人団体だけでなく個人事業主も行えることや、譲渡する資産を選べることです。医療法人の歯科医院で持分ありの場合は持分譲渡できますが、個人事業主は行えません。しかし、個人事業主は、事業売却・事業譲渡を行うことが可能です。
さらに、事業売却・事業譲渡は、売り手の合意を得た場合において、不要な資産を引き継ぐ必要がありません。持分譲渡は、包括承継のため譲渡する資産を選ぶことができず、余計な負債なども引き継ぐことになります。
歯科医院の継承開業のデメリット
歯科医院の継承開業する際、後のトラブルにならないためにデメリットを把握しておくことは大切です。歯科医院の継承開業のデメリットについて見てみましょう。
歯科医院の継承開業を行うデメリットの一つに「受け継いだ施設や医療機器の老朽化」があります。レントゲンやユニットなど一見きれいに見える医療機器ですが、長年の使用により老朽化している可能性があります。許可を得て、医療機器が使用できる状態か確認しましょう。
また「前歯科医院の影響を多く受ける」ことがあります。新たな歯科医院の開業であっても、前歯科医院の評判は大きく影響します。継承開業した後、前歯科医院の治療方針や治療内容の影響を受ける可能性があるでしょう。
他にも「新しい治療方針が浸透しにくい」こともあります。前歯科医院のスタッフを受け継いだ場合、新しい診療方針をスタッフに浸透させるのに時間がかかる場合もあるでしょう。
歯科医院の継承でよくあるトラブル
歯科医院の継承でよくあるトラブルを解説します。これらのポイントを考慮して計画的に開業を行うことで、継承開業を成功させることが可能です。歯科医院の継承で、よくあるトラブルをいくつか見ていきましょう。
- 患者さんのマイナスイメージ
- 建物・設備の老朽化
- 診療スタイル・理念の相違
- 引き継いだスタッフとの関係
- 事前準備の不足
歯科医院の継承でよくあるトラブルの一つに「患者さんのマイナス思考」があります。前歯科医院の患者さんを引き継ぐ際、院長先生が入れ替わることで患者さんは経営状態が悪化しているのでは?という不安から、歯科医院を離れる可能性があります。
患者さんが一度抱いたマイナスイメージを解消することは簡単ではありません。トラブルを避けるには、患者さんへ歯科医院継承の理由を正しく伝えることが重要です。また、歯科医院継承前から、患者さんと接し、コミュニケーションをとれるようにすることも大切です。
「建物・設備の老朽化」によるトラブルもあります。歯科医院継承は、経営権とともに建物や設備なども引き継ぎます。そうすることで、歯科医院を開業するためにかかる初期コストを大幅に抑えられるからです。
しかし、引き継ぐ建物や設備が激しく老朽化している場合があり、歯科医院の運営や診療に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。前歯科医院の開業年数や建物の経過年数、また設備の老朽化を事前に調査することをおすすめします。
他のトラブルに「診療スタイル・理念の相違」もあげられます。歯科医院の継承を望む院長先生のなかには、自分が持っていた診療スタイルや診療理念の引き継ぎを望む方もいます。しかし、医院継承をする院長先生が、前歯科医院の院長先生の診療スタイルと診療理念に同意できない場合、トラブルに発展してしまうでしょう。
また、診療スタイルや理念を大きく変更してしまう場合、患者さんへの悪影響につながる可能性もあります。診療スタイルの変更に不安を抱いた患者さんとのトラブルが発生したり、他の歯科医院へ移ってしまったりすることも考えられます。前歯科医院の診療スタイルや診療理念をできるだけ引き継ぐようにして、患者さんとのトラブルを避けることが大切です。
「引き継いだスタッフとの関係」もトラブルの原因になる場合があります。歯科医院を継承して開業する場合、前歯科医院のスタッフも継続して雇用することが一般的です。
しかし、相性や診療スタイルの違いなどから、前歯科医院からの引き継ぎスタッフとの間でトラブルが起きる可能性があります。この場合、院長先生とスタッフ間でのよいコミュニケーションが重要です。
必要であれば全スタッフとの個別面談を行うことで、歯科医院の運営方針・診療スタイルについての意思の疎通を行うようにしましょう。個別面談次第では、新たなスタッフを追加雇用する必要があるかもしれません。
最後に、「事前準備の不足」です。多くのトラブルは、継承開業する準備段階で、事前に入念な準備を行っていれば防げる可能性があります。
歯科医院継承には、多くの手続きを事前に行わなければなりません。歯科医院継承にともなう多くの手続きに気を取られてしまい、歯科医院の開業後の運営に関してのポイントを見過ごしてしまうかもしれません。
そのようにならないために、専門家に相談することをおすすめします。専門家の適切なアドバイスにより、円滑な歯科医院継承を行い、無用なトラブルを避けることが可能です。
歯科医院の継承方法と流れ
歯科医院の継承方法と流れについて見ていきましょう。継承方法と流れは、以下のステップに分かれます。
- 専門家への相談
- 継承する歯科医院の評価
- 継承先の選定・交渉
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- 最終交渉・契約
- 引き継ぎ
- クロージング
歯科医院を継承する際、まず「専門家への相談」を行いましょう。歯科医院の継承には複雑な手続きがともないます。専門家の持っている知識やノウハウを上手に利用しましょう。万が一、契約内容に不備があると大きなトラブルにつながる場合があるため注意が必要です。
専門家に相談したら「継承する歯科医院の評価」を行います。各種手続きを行う前に、譲渡対象資産と経営権の評価値の総額から歯科医院の評価を行い、譲渡価格を算定します。
譲渡対象資産とは、主に歯科医院が所在する土地や建物、医療設備などが含まれます。経営権とは、医院全体の意思決定を行う権利のことです。この段階の譲渡価格は、最終的な金額ではないため注意しましょう。
歯科医院の譲渡価格を算定したなら、次に「継承先の選定・交渉」を行ないます。親子間での医院継承であればすでに決定しているため問題はありませんが、継承先が第三者である場合、慎重に行う必要があります。
医院の継承先候補を選定できたら、次に行うことは交渉です。提供される情報や現地視察を通して、お互いが医院継承に同意したら、基本合意書を提出します。
基本合意書の内容にお互いが納得し合意したら、「基本合意書の締結」に進みます。基本合意書の締結は、義務化されていません。基本的に、基本合意書は法的拘束力を持たないためです。
しかし、書面上で明示することで、法的拘束力を持たせることも可能です。たとえば、秘密保持義務、裁判管轄、独占交渉権など、後々交渉によって変更することがないものには、基本合意書の段階で法的拘束力を持たせることができます。状況によっては、双方において基本合意書の締結を行わなかったり、どちらか一方が行ったりします。
その後、「デューデリジェンスの実施」をします。デューデリジェンスとは、歯科医院継承を行う当事者が、その歯科医院を継承しても問題がないかを審査することです。その際、継承する歯科医院の財務情報や事業情報、組織情報などを分析します。想定できる問題点を洗い出すことで、歯科医院継承に発生する可能性のあるリスクやトラブルへの対策を行えます。
デューデリジェンスの実施を行った後、「最終交渉・契約」の段階に移ります。最終交渉では、デューデリジェンスの実施によって発覚した問題点などを考慮し、再度契約内容を吟味します。双方で契約内容を確認し納得できるなら、最終契約の手続きを行いましょう。
最終契約書は、基本合意書をもとに、最終交渉の段階で変更や追加された内容を織り込んで作成されます。最終契約書は法的拘束力を持つため、基本的に契約が締結された後は破棄できません。
最終契約書を締結したなら、歯科医院の継承について双方が承認したことになります。承認後は、歯科医院の「引き継ぎ」が行われます。経営権を引き継ぐ準備のほか、スタッフや患者さんへの説明が含まれます。一般的に引き継ぎの段階には、ある程度の期間が必要です。
最後に、「クロージング」です。歯科医院を継承する当事者が取引き相手に譲渡価格を支払い、経営権の移転を完了させます。移転が完了したなら、歯科医院の継承は終了です。
歯科医院を継承する際の開設届の手続き
歯科医院を継承する際の開設届の手続きについて解説します。開設届に関しては、個人歯科医院継承か、法人歯科医院継承なのかで内容が異なります。
個人歯科医院や法人歯科医院を継承する際の開設届の手続きを、1つずつ見てみましょう。
個人歯科医院継承の届出
基本的には、現開設者が現歯科医院の廃止手続きを行い、新開設者が新歯科医院の開設手続きを行います。この手続き方法は、歯科医院の継承者が親子の場合でも第三者の場合でも変わりません。
以下が必要な手続きです。
現開設者が行う廃止手続き
- 診療所廃業届(廃止後10日以内に保健所に提出)
- 診療用エックス線装置廃止届(廃止後10日以内に保健所に提出)
- 保険医療機関廃止届(廃止後10日以内に地方厚生(支)局事務所等に提出)
- 事業廃止届出書(廃止後速やかに税務署に提出)
- 個人事業の開廃業等届出書(廃止1か月以内に税務署に提出)
- 給与支払事務所等の廃止届出書(廃止1か月以内に税務署に提出)
新開設者が行う開業手続き
- 診療所開設届(開設後10日以内に保健所に提出)
- 診療用エックス線装置備付届(開設後10日以内に保健所に提出)
- 麻薬施用(管理)者免許申請(締切や処理期間は各地域ごと)
- 保険医療機関指定申請書(締切日は歯科医院開設地管轄の地方厚生(支)局事務所ごとに定められている)
- 保険医療機関遡及願(地方厚生(支)局事務所の規定に従う)
- 個人事業の開廃業等届出書(開業1か月以内に税務署に提出)
- 青色申告承認申請書(開業後2か月以内に税務署に提出)
- 青色専従者給与に関する届出書(経費算入開始の2か月以内に税務署に提出)
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書(給与支給人員が常時10人未満の場合、源泉徴収を通常は毎月納付する義務を、この申請が通れば年に2回にまとめることができる)
個人歯科医院継承の届出に関しては、地域によって取り扱いが異なるため、事前に確認することをおすすめします。
法人歯科医院継承の届出
法人歯科医院継承の届出は、個人歯科医院継承とは異なり、各所に変更届を提出するだけで届出処理が完了します。そのため、個人歯科医院のなかには、継承のために医療法人化を行う歯科医院もあります。
法人歯科医院継承の届出は以下の通りです。
- 医療法人役員変更届(保健所に提出)
- 医療法人の登記事項の届出(変更後の登記事項証明書を保健所に提出)
- 保険医療機関届出事項変更届(地方厚生(支)局事務所に提出)
- 医療法人役員変更登記申請書(法務局に提出)
- 異動届出書(代表者の変更)(税務署に提出)
歯科医院を継承する前に決めておくべきこと
歯科医院を継承する際に行うべきことはたくさんあります。歯科医院の形態や継承する人との関係によって、歯科医院を継承する前に決めておく事柄も変わってきます。
第三者からの事業継承
第三者から歯科医院を継承する場合、患者さんやスタッフを引き継ぐかなどの他に、経営権についても検討し譲渡価格を算定する必要があります。
不動産価格、医療機器や備品など価格設定は、簿価や時価の要素が関係してくるため専門家のアドバイスを求めることをおすすめします。第三者から歯科医院を継承する場合、継承前の定期借地契約条項に従う必要があるため、どのような契約が結ばれていたのかを確認しましょう。
身内からの事業継承
身内から歯科医院を継承する場合に、贈与・相続対策などを踏まえ、償却資産をどのように継承するかを決定する必要があります。継承する土地や建物、医療機器、負債などをどのように継承するかを決めます。
一般的に継承する方法は、売却、贈与、貸付のいずれかですが、事前に金額を決めておきましょう。負債に関しては、未払金・借入金はそのまま継承することが一般的です。
法人の継承
継承する歯科医院が法人の場合には、新たに理事長を任命して手続きを行うだけでなく、医療法人の持分(財産権)を取得する必要があります。2007年3月以前に設立された医療法人は経過措置型医療法人と呼ばれ、それより後に設立された医療法人を基金拠出型医療法人と呼びます。
経過借置型医療法人は、出資持分を取得しなければなりません。長年の蓄積により出資持分価格が高額になると、購入と贈与に関して多額な税金と資金が必要になり、簡単に継承できなくなる可能性があるため注意が必要です。
基金拠出型医療法人は、出資持分ではなく、基金を引き継ぐことになります。利益が上がっても基金が変わることはないため、経過措置型医療法人よりも継承がしやすくなるでしょう。
歯科の事業売却・事業譲渡や事業承継の注意点
歯科医院の事業売却・事業譲渡や事業継承を行う場合、メリットだけではなく注意点もあります。慎重に考慮することで、メリットを最大限に生かすことができます。
注意点は、持分譲渡とは異なり包括承継ではないということです。そのため、土地や建物、また設備などを個別に売却します。スタッフなどを引き継ぐために再雇用のための新たな手続きも必要になるため、持分譲渡よりも手間がかかるのが注意点です。
歯科医院の院長先生が交代することになるため引き継ぎを上手に行い、患者さんが離れていかないように注意する必要があります。事業継承により、歯科医院の運営方針が大きく変わってしまうなら、患者さんが離れてしまう可能性があります。前歯科医院が培ってきた良いものを壊さずに、バランスをとり運営していきましょう。
歯科医院の継承開業を成功させるポイント
歯科医院の継承開業を成功させるには、事前に起こり得るトラブルを想定して対策を取る必要があります。どのようなポイントに注意することができるか、見ていきましょう。
歯科医院の継承開業を成功させるポイントに、「継承をスムーズに行う」ことが挙げられます。前院長の退職から多くの時間が経過してから開業を行うと、前歯科医院に通っていた患者さんが他の歯科医院に移る可能性があります。前歯科医院の院長先生と上手にコミュニケーションを取って、スムーズな継承を行いましょう。
また第三者への継承の場合、継承後に判明する法人借入金があったり、前院長先生による医療過誤が発覚したりする場合があります。後々トラブルに巻き込まれてしまう可能性があるため、リサーチ力があり公正な立場で判断ができるデンタル・マネジメント・コンサルティングのような専門家に頼ることをおすすめします。
節約できた開業費用を「歯科DX」に投資し成功させることもできます。「歯科DX」とは、デジタル・トランスフォメーション(Digital Transformation)の略です。つまり、歯科医療の現場にIT化を促進し効率性を高めていくことです。効率アップや経費削減につながるITシステムを優先して導入し自動化をはかり、継承開業を成功させていきましょう。
まとめ
この記事では、歯科医院の継承開業にかかる費用や費用の相場、よくあるトラブルや手続きの注意点、成功するためのポイントについて解説してきました。
現在、後継者がいない開業医や開業を希望する勤務医は増え続けています。双方の問題や悩みを解決できるのが継承開業ですが、事前にメリットや注意点を確認することで起こり得るトラブルを回避することが可能です。歯科医院の継承開業を検討している院長先生や経営者の皆さんは、この記事をお役立てください。
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執筆者
株式会社ITreat
Webディレクター/リーダー
大手求人情報誌のデザイナー、インハウスのWebデザイナーを数年経験。Webディレクターに転身後、Web事業を展開している上場企業を経て、2019年に株式会社ITreat入社。現在は病院・クリニック・リハビリ施設サイトのディレクションを担当。社内外のSEO対策にも従事。
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