歯科医院を居抜きで開業する際のメリット・デメリット、注意点とは?

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最終更新日:2024/04/12

公開日:2023/02/09

歯科医師の先生方がキャリアを積んでいく中で、歯科医院の開業を検討されることは一般的です。しかし、歯科医院の新規開業には莫大な費用がかかり簡単に進められるものではありません。歯科医院の開業には、新規開業、医院継承のほかに「居抜き開業」という方法があるのをご存じでしょうか。歯科医院が居抜きで開業し、成功するためにはチェックすべきポイントを網羅できているかが大きく左右します。

この記事では、歯科医院の「居抜き開業」においてチェックすべきポイントや、居抜き開業のメリットやデメリット、注意点について解説していきます。物件の種類や適正価格、開業時の統計についてもご紹介します。居抜き物件での歯科医院の開業を検討されている先生方は、ぜひ参考にしてください。

歯科居抜き物件とは?

歯科居抜き物件とは、医療設備や内装など前歯科医院が残した状態で賃貸借される物件のことです。主に飲食店や旅館、工場などで営業用設備や内装が残された状態での賃貸をいいますが、歯科医院にも当てはまります。患者さんやカルテの引き継ぎ、歯科医院スタッフを再雇用することもあり、歯科医院の継承開業のための物件でもあります。

近年では、居抜き歯科医院として医院の売却を考える院長先生が多いのが現状です。居抜き物件は、すべてをはじめから新しく揃える必要がないため、新規開業するよりも居抜きで開業しようと検討している院長先生は少なくありません。

歯科開業における物件の種類

開業する際の物件にはいくつか種類があります。歯科開業における物件の種類を見てみましょう。

歯科開業における物件の種類
  • テナント物件
  • 新築物件
  • 居抜き物件

テナント物件」とは、商業施設や商店街などの店舗物件を借りて歯科医院を開業するタイプです。駅周辺やショッピングモールなどの人が集まりやすい環境が多いため、集患しやすいメリットがあります。しかし、立地条件の良い物件ほど家賃が高くなるため、初期費用や運営費用に余裕を持っておくことが必要です。

新築物件」とは、建物を新築して歯科医院を開業するタイプです。自宅と歯科医院を兼ねたり、自分で自由に歯科医院をコーディネートできたりするのが大きなメリットです。しかし、テナント物件や居抜き物件での開業と比べると、新築物件での歯科医院の開業には費用がかさんでしまうデメリットがあります。また立地条件によっては、集患するための工夫が求められるでしょう。

居抜き物件」の場合、当然ながら前回の賃借人は歯科医師です。内装や医療設備をそのまま譲り受けて歯科医院を開業できるため、一見開業費用が節約できると思われがちです。しかし、家賃や礼金敷金の他に、医療設備の譲渡金額が発生するため注意しましょう。最近では、居抜き物件を探すための専用サイトも増え、情報を入手しやすく、希望の物件を探しやすくなっています。

歯科医院の居抜き開業のメリット・デメリット

実際に歯科医院の居抜き開業を行いたいと思っても、わからないことも多いでしょう。では、居抜き開業のメリットとデメリットには何があるのでしょうか。メリットとデメリットを把握し、居抜き開業を成功させましょう。

歯科医院の居抜き開業のメリットを5つ、デメリットを3つご紹介します。

メリット①開業コストが抑えられる

メリットの一つは、「開業のコストが抑えられる」ことです。新規開業よりも少ない資金で開業できます。一般的に、テナント物件や新築物件での歯科医院の開業は、ゼロからのスタートです。ゼロから内装を揃えると坪単価50万円以上はかかると言われています。医療設備を揃えると、さらに初期費用が高額になるでしょう。居抜き開業は、それまでの物件の内装や医療設備などをそのまま継承できるため、初期費用を大幅に抑えることが可能です。

メリット②短期間で開業できる

短期間で開業できる」こともメリットの一つです。居抜き開業は、前歯科医院の認知度を利用して、歯科医院運営をスムーズに立ち上げていくことが可能です。前歯科医院が保持していた患者さんのカルテや住所録などをもとに、患者さんに新たな歯科医院開業のお知らせができ、短期間で集患できます。

メリット③早い段階で軌道に乗せられる

早い段階で軌道に乗せられる」メリットもあります。前歯科医院のスタッフを再雇用することにより、患者さんとのつながりを維持でき、歯科医院の運営を早い段階で軌道に乗せられます。

メリット④将来予測と方針決定ができる

前歯科医院が残した過去のデータをもとに「将来予測と方針決定ができる」メリットがあります。前歯科医院の集客数、運営方針、診療時間、スタッフ体制、売上データなどをもとに実態を把握し、改善点を見つけ出し、自院の運営に反映させていくことが可能です。

メリット⑤売却譲渡時の資産目減りが少ない

売却譲渡時の資産目減りが少ない」という点もメリットの一つです。つまり居抜き物件での歯科医院の開業は、物件の資産価値の減少額を小さく抑えられるということです。将来的に、医院を移転・廃業・売却する場合、新規物件であれば資産取得額が大きいため資産の目減りが大きくなります。しかし、居抜き物件はもともと資産取得額をかなり小さく抑えられているため、少ない減少額で済むのです。

デメリット①自分好みにしづらい

デメリットは、「自分好みにしづらい」ことがあります。歯科医院の居抜き物件は、物件数が圧倒的に少ないのが現状です。物件数が少ないため、立地条件や、内装、医療設備を自由に選べない可能性があります。居抜き物件を探すタイミングと、自分好みの居抜き物件が募集しているタイミングが合致しなければ、より難しくなるでしょう。

デメリット②工事や設備に追加費用が必要

居抜き物件での歯科医院の開業は、「工事や設備に追加費用が必要」になる場合があります。居抜き物件は、前歯科医院の内装や設備をそのまま継承することになるため、修理工事や買い替えなどのリスクがあります。また、設備のリース契約を引き継ぐ場合は注意が必要です。リース契約期間が過ぎてしまうと、追加費用が必要な場合があるためよく確認しましょう。

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デメリット③前歯科医院の評判に影響を受ける

良くも悪くも「前歯科医院の評判に影響を受ける」デメリットもあります。前歯科医院の評判が良ければ集患につなげることが可能ですが、評判が悪ければデメリットになり得ます。外装を改装し、医院名を変更したとしても、患者さんの持っているイメージを変えることは難しいかもしれません。さらに、前歯科医院のクレームを受けてしまう可能性もあります。

歯科医院の居抜き開業を成功させるためにチェックすべきポイント

歯科医院の開業のための居抜き物件は、優良な物件とそうでない物件があります。優良でない物件を選んでしまうと、契約後に追加費用が発生したり、何らかの問題に巻き込まれて集客(集患・増患)に影響を及ぼしたりするかもしれません。そのため、居抜き物件での歯科医院の開業を成功させるには、事前に物件の良し悪しを見分けることが重要です。

ここでは、歯科医院の居抜き開業を成功させるために、居抜き物件の良し悪しを判断するチェックポイントを4つご紹介します。

前歯科医院の閉院理由と資料をチェックする

前述した通り、歯科医院の居抜き物件は、前歯科医院の影響を確実に受けます。そのため、「前歯科医院の閉院理由と資料をチェックする」必要があります。どのような理由で、前歯科医院は閉院したのでしょうか。

院長先生の病気もしくは死亡が原因で閉院したなら、前院長先生の年齢に目を留めるのは重要です。前院長先生が高齢の場合、患者さんの年齢層も高齢であると同時に、患者さんの前院長先生との密着度も高いかもしれません。そうなると、新しい院長先生になったとたん来院しなくなるケースがあるため注意が必要です。一方、前院長先生が若くして死亡した場合は、残された家族の生活のために物件価格が高くなる可能性があります。

「経営不振」による理由で前歯科医院が閉院する場合もあります。このケースの居抜き物件で歯科医院を新たに開業する場合、事前に確実な改善策を見いだして開業する必要があります。経営不振に陥った理由を資料などでチェックして確認しましょう。

前歯科医院の閉院理由を事前に資料などでチェックすることが必要です。

前歯科医院の評判をチェックする

前歯科医院の評判をチェックする」ことも重要です。新たな歯科医院の開業であっても、前歯科医院が持っていた評判は大きく影響します。評判が悪ければ、どのような理由で悪かったのかも確認しましょう。たとえば、歯科医院のスタッフの対応が悪かった、駐車場が入りづらいなどです。さらに、頻繁に歯科医院が変わる居抜き物件にも注意が必要です。経営不振などを理由に閉院した歯科医院が、続けて同じ物件を利用していた場合、その物件には「閉院」のイメージがつき、評判が悪くなります。

インターネットで検索して前歯科医院の評判をチェックしたり、実際に物件の近所を歩いて、地元の人に前歯科医院の評判を聞いてみたりしましょう。

院内を必ず自分の目で細かくチェックする

物件を「自分の目で細かくチェックする」ことは重要です。一見きれいに見える医療設備の機材であっても、今後も長く使用できるかどうかをチェックしましょう。許可を得て、レントゲンやユニットなどの機材が使用できる状態にあるかを事前に確認します。医療設備の機材の場合、リース契約で組まれている場合があるため事前にチェックが必要です。リース契約とは、機材の購入費用をリース会社が立て替え、歯科医院がリース料金を支払うことで機材を利用できることです。機材がリース品の場合、リース契約を継承できるかどうかの確認が必要になります。

患者さん目線で物件内を細かくチェックし、患者さんに対して不都合がないかどうかを見極めます。また、歯科医師の目線で物件内の動線などをチェックして、診療時に使用する機材への影響などをイメージしながら確認することも大切です。

集客を見込める立地条件かチェックする

集客を見込める立地条件かどうか」をチェックすることも大切です。徒歩なのか、公共交通機関や自動車を使うのか。アクセス方法にもよりますが、駅前や住宅地、自院に通院できる範囲内にどれだけの潜在患者数が見込めるかで運営が変わってきます。立地によっては、自院以外にも歯科医院が多い場所もあるため、人口比で歯科医院の少ない場所かどうかをチェックしましょう。

郊外にある居抜き物件は、法人経営により分院長が見つからないとの理由で閉院する場合がほとんどです。このケースでは、立地条件を理由に来院していた患者さんが多くいます。運営方法によっては、非常に優良な物件になる可能性がありますが、事前に立地条件などをよく確認しておきましょう。

居抜き開業のチェックポイントまとめ

ここでご紹介した居抜き開業のチェックポイントをまとめてみましょう。

居抜き開業のチェックポイント
  • 前歯科医院の閉院理由と資料をチェックする
  • 前歯科医院の評判をチェックする
  • 医院内を必ず自分の目で細かくチェックする
  • 集客を見込める立地条件かチェックする

前歯科医院が閉院した理由を資料などからチェックしましょう。前歯科医院の評判は、開業する自院にも影響します。具体的な評判をインターネットや地域の人たちから収集することが重要です。物件内に残されている医療設備の機材に不具合はないか確認します。また、機材はリース契約かのチェックも重要です。もしリース契約の場合は、リースを継承できるかチェックしましょう。物件内を患者さんや歯科医師目線で確認することも重要です。物件内で、患者さんに不都合が出そうな場所はないか、動線など診療時に障害が起きないか確かめてください。

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居抜き歯科医院の適正価格

居抜き歯科医院の適正価格を把握しておくことは重要です。歯科医院の居抜き物件の適正価格を把握することで、上手に継承できるでしょう。

居抜き歯科医院の価格は、土地やビル、マンションとは異なり、価格市場がはっきりと定められていません。そのため、前歯科医院の感覚的な値付けで取引がされています。勤務医などへ個人的に取引がなされる場合、力関係が原因で適正価格からかけ離れた金額でやり取りがなされるケースがあります。前歯科医院による感覚的な値付けは、価値ある歯科医院を著しく廉価で取引きさせたり、高く値付して取引きさせたりすることがあるため注意が必要です。

居抜き歯科医院の適正価格の判断は、立地条件や前歯科医院の評判などの事情を考慮することが必要であり、歯科医院の居抜き物件に詳しい専門家に算定を依頼することをおすすめします。

歯科の開業の統計

ここで近年の歯科における開業の統計を見ていきましょう。

調査日 施設数 前年比
2017年10月1日 68,609 開設1,720、再開115、廃止1,739、休止427
2018年10月1日 68,613 開設1,485、再開56、廃止1,370、休止167
2019年10月1日 68,500 開設1,451、再開70、廃止1,478、休止156
2020年10月1日 67,874 開設1,393、再開172、廃止1,714、休止477

以上の通り、歯科医院の数は7万件弱で落ち着いています。歯科医院の開業に関しては、1,300件から1,800件弱で廃業数とほぼ同じですが、近年開業数よりも廃業数の方が多い傾向にあります。

歯科医院の開業の数は、歯科医院の全く新しい開業に加え、歯科医師の親や勤務医などから歯科医院を継承し、行政手続きの関係で開業と分類されているものがあります。さらに、既存の歯科医院の居抜き開業、合併や買収による開業が相当数含まれています。

▼出典:医療施設調査・病院報告(結果の概要)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1a.html

まとめ

この記事では、歯科医院を居抜きで継承・開業する際にチェックすべきポイント、居抜き開業のメリットやデメリット、注意点について解説してきました。

居抜き開業では、デメリットをどれだけ解消できるか、またメリットをいかに生かせるかがポイントです。居抜き開業を考慮する場合、立地条件や前歯科医院の評判なども考慮に入れて慎重に決断することが重要でしょう。優良な居抜き物件を見つけることができれば、低コストで自分の理想の歯科医院を開業することが可能です。歯科医院の開業を考慮する際、ぜひ居抜き開業をご検討ください。

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執筆者

S・OGAWA

株式会社ITreat

Webディレクター/リーダー

大手求人情報誌のデザイナー、インハウスのWebデザイナーを数年経験。Webディレクターに転身後、Web事業を展開している上場企業を経て、2019年に株式会社ITreat入社。現在は病院・クリニック・リハビリ施設サイトのディレクションを担当。社内外のSEO対策にも従事。

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