病院・クリニック開業時にオープニングスタッフの求人に効果的な方法

採用/求人/キャリアアップ

最終更新日:2022/05/27

公開日:2022/03/17

はじめに

病院・クリニックを新規で開業するにあたり、建物の設計や工事の計画、導入する医療機器・設備を考えると同時に、オープニングスタッフの採用活動も始めなければなりません。しかし、現状医療業界では人手不足が続いており、採用活動も簡単ではありません。

では、どのように採用活動を進めていけばいいのでしょうか。この記事では、採用活動をするうえで把握しておきたい「医療業界の実態」「オープニングスタッフが辞めてしまう理由や退職を防ぐ方法」「採用すべき人材」「オープニングスタッフを集める方法」など、採用活動を成功させるポイントについてご紹介します。

こんなに高い!?医療従事者の離職率

医療業界の採用は売り手市場が加速していることで年々採用活動が難しくなり、離職率の高さもよく耳にします。では、なぜ医療従事者の離職率は高いのか。主な理由として、下記が挙げられます。

  • 業務のサポート体制が不十分
  • 仕事が激務
  • 働き方改革の遅れ
  • 人手不足
  • 他業種に比べ、”売り手市場”の傾向が強い

医療業界全般で、上記のような理由により離職率が高くなっています。新型コロナウイルス感染症により医療現場が逼迫しているという状況がさらに加速させていますが、医療業界の離職率問題はコロナ以前からの問題でした。

次に、職種ごとの離職率等をご紹介します。

看護師

2020年に実施された公益社団法人 日本看護協会の調査※1によると、看護職員全体の離職率は11.5%新卒に限定すると8.6%となっています。また離職率以外にも、以下のような調査結果が出ています。

  • 夜勤回数の増加
  • 1職員あたりの負担増
  • 看護職員の教育に手が回らない

人手不足に陥った結果、スタッフへの負担が増加。さらに教育等のサポートにも手が回らない、といった悪循環に陥り、離職率の増加につながっています。

歯科衛生士

歯科衛生士は離職率だけでなく、未就業人口が多いという問題を抱えています。2019年時点の歯科衛生士名簿登録者が28万3,032人であるのに対し、就業歯科衛生士の人数は13万2,629人です。
つまり、約15万人は歯科衛生士の資格を持ちながら未就業、もしくは歯科衛生士を辞めて離れているということになります。

退職理由は2020年に公益社団法人 日本歯科衛生士会が発表した「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」※2によると、上位を占める退職理由は以下です。

  • 出産・育児:12.4%
  • 結婚:8.4%
  • 職場の人間関係:7.7%

また再就職しない理由としては、57.2%が「勤務時間」、47.2%が「自分のスキル」、27.4%が「高齢のため」、24.8%が「給与・待遇の面」となっています。

医療業界全体

厚生労働省が発表した「令和2年雇用動向調査結果の概況」※3には業種ごとの平均離職率が記載されています。主要な産業別の離職率ワーストランキングも記載されていて、以下のような数字になっています。

  • 宿泊業、飲食サービス業(26.9%)
  • 生活関連サービス業、娯楽業(18.4%)
  • 教育、学習支援業(15.6%)
  • 不動産業、物品賃貸業(14.8%)
  • 医療、福祉(14.2%)

医療、福祉が主要な15産業の中でワースト5位にランクインしています。福祉も入っているので厳密には医療業界だけではありませんが、離職率が高いということがわかります。

※1 公益社団法人 日本看護協会「2020年 病院看護自体調査」
https://www.nurse.or.jp/up_pdf/20210326145700_f.pdf

※2 公益社団法人 日本歯科衛生士会「​​歯科衛生士の勤務実態調査報告書」
https://www.jdha.or.jp/pdf/outline/r2-dh_hokoku.pdf

※3 厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/gaikyou.pdf

病院・クリニックのオープニングスタッフが辞めてしまう理由

なぜこんなにも離職につながるのでしょうか。特に病院・クリニックのオープニングスタッフが辞めてしまう理由として以下が挙げられます。

  • 院長先生が経営に不慣れ
  • 院長先生とスタッフの人間関係がうまくいかない
  • 経営側が労働条件を守っていない
  • 教育体制ができていない

これらの理由について順に解説していきます。

院長先生が経営に不慣れ

病院・クリニックを新規開業する際、開業される院長先生は雇用されていた立場から独立することになります。
トップになると、マネジメントスキルやスタッフを雇用するための労務などに関する知識が求められます。しかし、これまで勤務医だった先生が開業されるため、経営に慣れていないケースがほとんどでしょう。

医師として素晴らしい技術やスキルがあっても、経営面で信頼が得られず、最終的にトラブルからスタッフの退職につながってしまうことがあります。

院長先生とスタッフの人間関係がうまくいかない

院長先生とスタッフの人間関係がうまくいかないケースも多いです。院長先生は病院・クリニックをオープンしてなんとか成功したいという思いが強いかもしれませんが、スタッフがまったく同じ思いとは限りません。

医師や看護師、事務スタッフ、正社員とパートなど職種や雇用形態によって、考え方や意見の違いは少なからずでてくるものです。自身の仕事に追われ、スタッフとのコミュニケーションに時間がとれず、積もり積もった不満で人間関係を崩し退職につながることがあります。

経営側が労働条件を守れていない

開業したばかりの病院・クリニックはスタッフが足りていなかったり、あらゆる業務に追われ、一時的に労働基準法などから逸脱してしまう場合があります。労働時間が長い、取りたい日に休みが取れない、など入職前に提示された条件と異なれば当然モチベーションは低下します。
院長先生や経営側に悪気はなくても、その結果離職につながるケースがあります。

教育体制ができていない

スタッフの教育や指導不足が原因となる場合もあります。特に経験の浅いスタッフや新卒のスタッフは常に不安を持ち合わせています。教育やサポートの体制が整っていないと、業務効率が低下しうまく機能しなくなったり、患者さんに迷惑をかけてしまうこともでてきます。その結果、思ったように仕事ができないなどのストレスから離職する場合があります。

病院・クリニックのオープニングスタッフの退職を防ぐ方法

せっかく採用したスタッフが辞めてしまうことは、医院としてもスタッフ側も避けたい出来事です。病院・クリニックのオープニングスタッフの退職を防ぐためには、スタッフが辞めてしまう原因を取り除くことが重要です。具体的には以下が挙げられます。

  • 院内でコミュニケーションを取る
  • 働き方改革を推進する
  • 採用前に条件を明確にする
  • 教育に力を入れる
  • 面接時に見極める

それぞれ解説していきます。

院内でコミュニケーションを取る

どの職場にも言えることですが、コミュニケーションは人間関係のトラブル回避につながります。何気ない日常会話や、定期的な面談を行ってスタッフの意見を聞く時間を設けると良いでしょう。

開業直後だからこそ、細やかにコミュニケーションを取ることで信頼関係を育んでいく必要があります。

働き方改革を推進する

働き方改革と一言に言ってもいろいろありますが、特に就業時間の管理が重要になります。前述したように、拘束時間が長い、休みが全然取れない、といった状況はモチベーションを低下させます。

ストレスが溜まって退職してしまう可能性があるので、すべてのスタッフが公平に休みをとれるようにするなど、スタッフが働きやすい環境づくりを進める必要があります。

採用前に条件を明確にする

働き方改革の推進などもあり、契約の重要性が増していると言えるでしょう。契約にない業務は本来スタッフに任せることはできませんし、特に不満が出やすいとされるのが「給与面」と「待遇面」です。スタッフの不満やトラブルにつながらないよう、あらかじめ業務内容や労働条件、医院内のルールを明確にし、書面で提示することが重要です。

教育に力を入れる

スタッフ自ら職場で先輩の動きを見て学ぶ、実践を通して学ぶ、ということは当然必須です。しかし、経験の浅いスタッフや新卒のスタッフは、最初の段階で放置されると混乱し不安が募ります。自分の役割、存在意義が見いだせず、離職してしまう可能性があるため、教育や指導には時間をかけることが大切です。

院長先生自身が指導にあたったり、医院内の研修や外部研修なども効果的です。活躍してもらうための体制を整えることで、スキルアップやモチベーションの向上につなげることが重要です。

面接時に見極める

必要最低限の条件を除き、履歴書だけで採用可否を判断することは避けましょう。実際に対面・会話し、その目で確認することが大切です。
院長先生だけで判断することも避けましょう。一人による判断は、自身の好みや感覚でどうしても偏りが出てしまいます。複数名の意見を取り入れ、本当にクリニックに適した人材か、一緒に働ける人材か見極めることが重要です。

病院・クリニック開業時の採用・求人募集はいつからはじめる?

新規で開業する場合、いつから採用活動をはじめればいいのかも気になるポイントです。
病院・クリニック開業時の採用・求人募集はだいたい開業する3~4か月前から始めるのが一般的とされています。早めに人材を確保し、開業の2~3週間前にはスタッフ研修等を始められるよう進める必要があります。

ここで注意すべきは、求人を出してもスタッフが集まらない可能性があるということです。特に看護師は慢性的な人手不足のため、募集したからといってすぐに応募があるとは限りません。

開業される場所や採用したい職種・人数、募集方法など様々な条件によって集まり具合は変わります。オープニングスタッフは比較的集まりやすい傾向がありますが、スムーズに集まらない場合を見越して早めに動くのが得策です。

どんな人材を採用すべき?

では、どんな人材をすべきなのでしょうか。採用するうえで重要な指標として、以下の2つが挙げられます。

  • 経験・スキルは十分か
  • 理念や方針に共感してもらえるか

医療業界の仕事は専門性が強いため、経験・スキルは必須です。そのため、一番避けるべきなのは経験、スキルを見誤るということです。
キャリアだけを見て採用しても、思った働きをしてくれない可能性もあります。面接時には経歴だけでなく、実際にやってきたことを確認すべきでしょう。

また、病院・クリニックにはそれぞれ理念や方針があると思います。抽象的なことではありますが、一緒に働いていくうえでは非常に重要なポイントです。理念や方針に共感してもらえるのか、何を大切にし、どのような思いを持って働きたいと考えているのか。面接時に確認し、伝える必要があります。

病院・クリニックのオープニングスタッフを集める方法

病院・クリニックのオープニングスタッフを集める方法として以下が挙げられます。

  • 前の職場などの知人
  • 求人サイト
  • 人材紹介会社
  • 求人誌・フリーペーパー
  • ハローワーク
  • SNS
  • 自院の公式ホームページ

それぞれの方法について解説していきます。

前の職場などの知人

人間性やスキルが予めわかるという面でおすすめの方法と言えるでしょう。他の方法だと、どうしても短時間の面接だけで判断することになるため、マッチングという点でおすすめです。
ただし、現在働いている職場での声かけは慎重に行う必要があります。現在の職場との関係性や、対等だった関係が上司と部下になることで、これまでの関係値が変わるリスクもあるため、慎重に相手を選ぶ必要があるでしょう。

求人サイト

求人サイトや人材紹介会社は大々的に募集できるというメリットがあります。医療業界は専用の求人サービスも豊富なので、募集がしやすいです。
先行投資型や成功報酬型など、サイトによって料金体系が異なるため、採用にかけられるコストを踏まえて検討する必要があるでしょう。

人材紹介会社

人材紹介会社側で、事前に条件に合っているかどうか絞ってくれるため、最初の選考の手間を省くことが出来ます。ただし、年収の2〜3割など手数料が発生するため、病院・クリニックを開業する際の採用活動においてはリスクがあるでしょう。

求人誌・フリーペーパー

ネットの普及により、以前ほど効果を望むことは難しくなりました。地方などのフリーペーパーは掲載される件数が限られるため、一定数のユーザーに見てもらえるという特徴があります。

ハローワーク

全国に事業拠点が設置されており、無料で募集できるという点で、まずはハローワークに求人を掲載する方も多いでしょう。特に開業を控え、資金繰りに頭を抱えている場合は助かります。
国が運営している公的機関で、労働基準法に違反している企業の求人は掲載していないという点で、一定数の求職者から信頼を得られています。

SNS

最も効果が期待されるのが新卒採用です。特に若い世代にとってSNSは必須のコミュニケーションツールです。就職活動においても友人間、SNSで情報を収集しています。
医院側も求職者がどんな人物なのか知ることができますし、SNSを介してスタッフの声やクリニックの情報を発信することで、学生との距離を縮めることができます。
リツイートなどのシェア機能を使って情報を拡散してくる場合もあるという点で、採用活動において有効です。

自院の公式ホームページ

自社サイトからの求人については後述します。自社サイトは非常に重要な採用ツールで、他のどの方法よりも重要です。

より効果的にスタッフの採用・求人活動を成功させる方法とポイント

求人方法をいくつかご紹介しましたが、どの方法を介しても、最終的には自院のサイトがある場合はそこにたどり着きます。

自院でホームページや採用サイトを持っていてもアクセスしてもらえる可能性は低い、という意見もあるでしょう。確かにGoogleなどの検索エンジンで検索し、直接流入してくる可能性は低いです。しかし、他の求人媒体から自院のサイトに流入してくる可能性は高いです。
理由は、院長先生の顔や理念、雰囲気など、他の求人媒体では見ることができなかった情報があるからです。求人媒体はフォーマットに合わせて、掲載できる情報が限られますが、自院のサイトであれば、自由に情報を掲載することが可能です。

自院の魅力や強みを余すことなく発信すれば、応募を検討している求職者の気持ちの後押しにつながるため、自院のホームページや採用サイトには力を入れるべきでしょう。

まとめ

医療業界は厳しい人手不足が続いていて、その結果さらに離職率が高まるという悪循環を抱えています。以前からこのような状況はありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響でより拍車がかかっていると言えるでしょう。

こういった状況下で、病院・クリニックを新規開業し生き残るためには、開業前から採用活動を行い、自院をアピールしていく必要があります。そして、効果を最大化するためにホームページや採用サイトを活用する必要があるでしょう。

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執筆者

S・OGAWA

株式会社ITreat

Webディレクター/リーダー

大手求人情報誌のデザイナー、インハウスのWebデザイナーを数年経験。Webディレクターに転身後、Web事業を展開している上場企業を経て、2019年に株式会社ITreat入社。現在は病院・クリニック・リハビリ施設サイトのディレクションを担当。社内外のSEO対策にも従事。

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