歯科医院における管理栄養士の必要性と求められる役割とは?
最終更新日:2024/04/26
公開日:2022/05/27
近年、歯科分野における管理栄養士の役割が注目されています。まだまだ認知されていませんが、管理栄養士の業務は、歯科診療において特に予防の面で大きな役割を担っています。この記事では、歯科医院における管理栄養士の必要性と役割について解説していきます。
管理栄養士が患者さんのお口と体の健康を守る
管理栄養士と歯科医院との関係性を意外に思われる方もいるかもしれません。しかし、どちらも「食べる」という機能と全身の健康に大きく関わっています。2つの分野の専門家が患者さんに関わることで、歯だけでなく栄養や食事に対するケアが可能となります。その相乗効果で、患者さんのより健康的な生活の維持と向上につなげることができるでしょう。
歯科医院における管理栄養士が在籍する意義
少し前まで、患者さんにとって歯科医院は虫歯になったら行くところでした。しかし現在は、虫歯や歯周病の治療をする場所ではなく、虫歯や歯周病を「予防」するための場所に変わってきています。国内の高齢化に合わせて患者さんの高齢化が進んだことで、咀嚼能力を含めた食べる機能や能力を改善し、患者さんの健康状態を改善することが重要になってきたということです。
口腔内の機能がすでに悪化し健康にまで支障をきたしている患者さんが、食事を楽しむことができるようになるためには、虫歯や歯周病の治療を行うだけでなく、患者さんに合った食習慣を確立していくための栄養指導が求められます。
そこに、歯科医院に管理栄養士が在籍する意義があるということです。食の専門家である管理栄養士がいることで、患者さんの口腔内の健康から身体の健康に至るまでのトータルケアを実現できます。
歯科医院における管理栄養士の役割
歯科医院における管理栄養士の役割は、患者さんの口腔内の健康に対する価値観を高めることです。口腔は全身の健康の入口であると言われています。お口の健康が全身の健康に及ぼす影響について、さまざまな研究がなされています。咀嚼能力とメタボリックシンドロームの因果関係や生活習慣病との関係性、また栄養の偏りや食欲低下による口腔内の問題などが、全身の健康に大きな影響を及ぼすことが明らかになっています。
お口の専門家である歯科医院において、口腔内の健康が全身の健康に大きな影響を及ぼすということや、今後のリスクなどの現状を患者さんに認識してもらうことが必要です。そうすれば、自然と食事や生活習慣にも変化がみられ、患者さんの健康改善に大きく貢献できます。このように重要な役割を担っているのが、管理栄養士なのです。
歯科医院における管理栄養士の業務
管理栄養士の業務には、次のようなものが挙げられます。
管理栄養士の業務内容
- 患者さんに栄養指導
- 患者さんにカウンセリング
- 受付業務
- 管理栄養士育成サポート
歯科医院で働く管理栄養士の主な業務は、患者さんへの栄養指導やカウンセリングです。
予防歯科では、患者さんの繰り返し治療をいかに止めるか、またどうすれば患者さんの口腔内の健康を維持できるかが求められます。
問診票などを用いて、患者さんがどんなものが好みで普段どんな食事をしているのか、食事の習慣などをヒアリング。それらの情報や、患者さんの口腔内の状態を把握した上で栄養指導を行います。
また、医院によっては受付業務や次に入ってきた管理栄養士の育成サポートなど多岐に渡ります。診療時に患者さんと話をしたり、コミュニケーションを取ったりすることも大切な仕事の一つです。
歯科目線で管理栄養士が行う栄養指導
人間は歯を失うと食習慣が偏り、摂取する栄養のバランスが崩れることで身体に悪い影響が及びます。ですから、いつまでも自分の歯で食事をしたいと思うのは自然な願いです。
「歯」は全身の健康に関わる重要なポイントと言えます。虫歯や歯周病などによって、その大切な歯を失わないために、食事や栄養指導は欠かせません。
いつまでも自分の歯でしっかり噛んで、おいしい食事を取ることができるよう、歯科目線で実施される管理栄養士による栄養指導が求められます。
お子様向けの取り組み
歯科医師、歯科衛生士と協力してお子様向けに行う食育サポートも、管理栄養士が実施する取り組みのひとつです。
近年、日本人の食習慣が欧米化してきたことは、子どもの食生活にも大きな影響を及ぼしています。やわらかい食べ物が一般化してきた中、子どものうちから健康的な食習慣を取り入れていく必要があることが再認識されています。お子様の年齢や成長に合わせて、正しい食習慣と健康に対する意識が、将来起こり得る生活習慣病の予防になると考えられています。
生活習慣病の予備軍向けの取り組み
では、生活習慣病の予備軍と言われている人は、もう手遅れなのでしょうか。そうではありません。生活習慣病の予備軍向けに適したアプローチに変えていくことによって対処していくことが可能です。
たとえば、虫歯や歯周病は咀嚼機能の低下につながります。そして、咀嚼機能の低下は栄養不足につながります。虫歯や歯周病が生活習慣病や全身の健康改善につながることを踏まえ、口腔内の健康を促進していくことで将来の生活習慣病の予防を行うことが可能なのです。
妊婦さんや赤ちゃん向けの取り組み
妊娠期間中に、妊婦さんが不安を感じながらも安心して過ごせるように、管理栄養士が食事指導を行うケースもあります。
産前はもちろん、赤ちゃんが生まれるとお母さんは歯科医院に通う余裕がなくなってしまうため、口腔内の健康状態は悪くなりやすいケースが多いです。妊婦さん、またはお母さんが栄養バランスを考えて食事を取ることは、自分の健康だけでなく赤ちゃんの健康にもつながります。
生まれてきた赤ちゃんのお口の中は日々変化します。母乳を飲むための機能が養われ、やがて歯が生え、食物を噛む機能・能力が発達していきます。管理栄養士が、赤ちゃんの成長の段階に合わせて必要な栄養学的なアドバイスを与えることで、発育や食習慣の面から赤ちゃんの健やかな成長のサポートにつながります。
お子様に対する指導も実施
管理栄養士は、妊婦さんや赤ちゃんに向けた取り組みをはじめ、お子様に対する指導やトレーニングの実施も求められます。たとえば、以下の取り組みについてみてみましょう。
- 口腔機能発達不全症
- 離乳食指導
口腔機能発達不全症
近年、口腔機能発達不全症による子どもの患者さんの数が増加しています。口腔機能発達不全症は、口腔内の機能がうまく発達せず、舌の力や噛む力が弱くなる症状です。健康的な食習慣を維持できるよう、管理栄養士が歯列や噛み合わせに悪い影響を及ぼす、癖や食習慣・食事環境に対して指導するといった取り組みがあります。
離乳食指導
歯がまだ生えていないお子様の食生活を守るために離乳食の指導を行う場合もあります。
間違った離乳食の与え方は、将来的な歯並びや顎の発達など、お子様の身体的な健康に大きな影響を及ぼす可能性があります。管理栄養士が、栄養面と離乳食の与え方の両面から健康を促進していけるよう指導をするという取り組みです。
歯科医院における管理栄養士のキャリアプラン
では、歯科医院における管理栄養士のキャリアはどのように積み上げられていくのでしょうか。
たとえば、1年目からの2年間は、入社後の研修会などを通して医療サービスの基本理解を深めていきます。歯科業界の知識を学びながら周りのサポートを受けつつ、徐々に歯科医師のアシスト業務につき基本的な技術を学んでいきます。
勉強会を通して安全・安心への重要性の理解など、医療機関のスタッフとしての基本的な能力を身につけていきます。そして、管理栄養士として歯科医院内のイベントなどに参加して、食生活の重要性をアピールしていきます。
3年目からの2年間は、アシスタントとしての基本的な技術を習得し、管理栄養士として独り立ちを目指します。助手業務としては、準備・片付けや時間管理を徹底し、チェアの効率化を考えて行動。管理栄養士としては、たとえば院内で食育イベントや親子教室を開催し、講師として参加します。また、患者さんの口腔内の健康を守るためのレシピなどを提案し食生活をサポートします。
5年目からは、患者さん一人ひとりに適した栄養指導を行い、患者さんの健康を食生活の面からサポートします。たとえば患者さんの糖尿病の管理など、管理栄養士ならではの高度な業務も任せることができるようになるでしょう。助手業務としても、患者さんのカウンセリングを実施。管理栄養士の後輩指導にもあたるなどして、マネジメント能力を高めていきます。
上記はあくまで一例です。
それぞれの歯科医院が管理栄養士に求める姿に合わせて教育。成長していくためのシステムを構築する必要があるでしょう。
まとめ
予防歯科という考え方が当たり前になった現在、注目されているのが管理栄養士の働きです。食の専門家である管理栄養士が歯科医院で活躍すれば、患者さんの健康に関する価値観を高めることでき、口腔内から身体全体の健康に至るまでのトータルケアを実現できるでしょう。管理栄養士は、歯科医療の面で大きな役割を担っているのです。
管理栄養士を採用し他院と差別化
管理栄養士が在籍する歯科医院はまだまだ少数です。管理栄養士を採用し栄養指導に力を入れることは、他院との差別化を図るという点でも大きな意味を持ちます。
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執筆者
株式会社ITreat
Webディレクター/サブリーダー
化粧品販売、制作会社、建設会社を経て2020年に株式会社ITreatへ入社。未経験からWebディレクターへ転身。現在は、病院・クリニックや一般企業のサイト制作におけるディレクション業務をはじめ、クライアントの採用業務のサポートなどを担当。
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