介護施設の経営戦略 - SWOT分析を使ったブランディングを徹底解説

集客(集患・増患)

最終更新日:2024/04/26

公開日:2023/05/02

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日本の少子高齢化にともない、近年、介護施設の利用者様が増え続けています。しかし、新規利用者の獲得や集客に悩んでいる施設経営者は少なくありません。これからの介護施設は、利用者様が満足できるサービスを提供するための経営戦略が必要です。

この記事では、競争の激しい介護業界で生き残るため、多くの運営企業・施設で採用されている「SWOT分析」について徹底解説します。事例もご紹介するため、新規利用者様の獲得・集客でお悩みの介護施設の経営者または管理者は、ぜひ参考にしてください。

介護施設の数(床数)は約40万床増加

厚生労働省のデータによると、2013年から2018年の5年間で、介護施設の床数の数が約40万床増加していることがわかります。特に増えているのは「有料老人ホーム」です。また「住宅型有料老人ホーム」や「介護付き有料老人ホーム」、「サービス付き高齢者向け住宅」も急速な増加傾向にあります。

少子高齢化社会にともない高齢者の数は増加傾向にありますが、施設の数も増加していることが現状です。介護施設が増加し利用者様の選択肢が広がったため、介護施設側は選ばれるための工夫が必要です。選ばれなければ稼働率の低迷、業績不振、最終的に経営不振に陥りかねません。

出典:介護サービス基盤と高齢者向け住まい<参考資料>|厚生労働省

高齢者を対象とした事業の倒産状況

株式会社東京商工リサーチが行った2020年1月〜9月までの調査によると、「老人福祉・介護事業」の分野で倒産件数が増加していることがわかります

1月〜9月までに倒産した件数は85件を上回り、最多を更新しました。倒産した事業所の内訳を見ると、デイサービスなどの「通所・短期入所介護事業」が30件、「訪問介護事業」が46件となっています。「老人福祉・介護事業」の新型コロナ関係の破たんは、3件に留まっています。国や金融機関などの新型コロナ支援で倒産を逃れた介護施設や事業所も存在する一方、先を見通せずに倒産する施設や事業所も増えているようです。

出典:2020年1-9月「老人福祉・介護事業」の倒産状況|株式会社東京商工リサーチ

介護施設の職員不足と競合他社

介護業界が陥っている一つの問題に、スタッフの離職率の高さがあります。
スタッフを確保できなければ稼働率が下がり、業績が低迷し、経営不振に陥ってしまうでしょう。そうならないため、施設や事業所は賃金を上げますが、人件費がかさみ経営が困難になることもあります。

また、現在の少子高齢化の影響にともない、資金力のある競合他社が介護業界に参入してきています。競合他社の参入により競争は激化し、業績不振につながる可能性があります。

ブランディングとは?

介護施設の稼働率を高め業績を向上させるため、利用者様から選ばれる介護施設になることが求められています。そのため、施設の「ブランディング」が重要なポイントです。

多くの施設の選択肢がある中から、利用者様に自分たちのサービスを選んでもらうために重要な「ブランディング」について以下の点をご紹介します。

  • 「ブランド」とは
  • 介護業界におけるブランディング

「ブランド」とは?

ブランディングの「ブランド」とは、古ノルド語の「ブランドル」に由来している言葉だと言われています。自分の家畜を他の家畜と見分けるために焼印をつけることから派生した言葉で、近年、企業や商品、サービスを競合他社と「差別化する」ために使用されています。「ブランド」とは、消費者や顧客が、商品やサービスを認知してその価値を認識したときに成立します。

介護業界におけるブランディング

介護業界におけるブランディングとは、ある特定の分野において「〇〇サービスと言えば△△施設」のように、利用者様のニーズと施設のサービスが紐づく状態のことです。当然、介護業界における分野の種類によりある程度の特徴はありますが、重要なのは名前が上がることです。たとえば、さまざまな介護サービスが、利用者様のニーズに応じて介護施設を利用者様に紹介しています。その際、それら介護サービスが、利用者様のニーズを把握して自分たちのサービスと紐付けてもらえるかどうかが重要であり、それが介護業界における「ブランディング」です。

インナーブランディングとアウターブランディング

介護業界における「ブランディング」には、大きく分けて2つあります。1つは「インナーブランディング」、もう1つは「アウターブランディング」です。

「インナーブランディング」と「アウターブランディング」について、以下の3つの点を考えてみましょう。

  • インナーブランディングの目的と効果
  • アウターブランディングの目的と効果
  • インナーブランディングとアウターブランディングによる相乗効果

インナーブランディングの目的と効果

インナーブランディングとは「インナー」、つまり介護施設内で働くスタッフへ向けて行うブランディングのことです。インナーブランディングの目的は、施設のイメージをつくるスタッフに施設の理念を浸透させ、ブランドの価値向上を実現させるものであり、社内理解と実践を促します。

インナーブランディングの効果は、以下の点が挙げられます。

  • 施設の理念の共有と行動指針の一貫性
  • 施設やブランドへの愛着や認識
  • スタッフの満足度・やる気の向上
  • スタッフの定着率の向上
  • 業務効率化・業務改善の促進
  • 優秀な介護スタッフの確保
  • 利用者様満足度の向上

アウターブランディングの目的と効果

アウターブランディングとは「アウター」、つまり施設の利用者様やご家族に向けて行うブランディングのことです。アウターブランディングの目的は、利用者様やご家族に、施設が持つイメージを向上させたり、施設の名前と利用者様のニーズを紐づけたりすることです。

アウターブランディングの効果には、以下の点が挙げられます。

  • 新規利用者様の獲得
  • 長期的な収益
  • 利用者様のニーズの把握
  • サービスの改善や提案

インナーブランディングとアウターブランディングによる相乗効果

インナーブランディングとアウターブランディングは、介護施設にとって重要なブランディングです。介護施設は、2つのブランディングによる相乗効果を期待できます。

たとえば、インナーブランディングでスタッフの業務意識の向上を促すことで、提供するサービスの質が向上し、利用者様の満足度につながります。アウターブランディングにより施設の認知度は向上し、スタッフのサービスの改善や向上につながるでしょう。

介護施設におけるブランディングの4ステップ

介護施設におけるブランディングの4つのステップをご紹介します。

以下の4つのステップです。

  • 目的と方向性の整理・共有
  • 市場や競合他社の分析と戦略の立案
  • ホームページや営業ツールなどの見直し、作成
  • ターゲットのニーズに合わせて最適化

目的と方向性の整理・共有

介護施設におけるブランディングの最初のステップは、目的と方向性の整理・共有です。自分たちの施設の強みや競合他社との違い、利用者様へのサービスの価値をスタッフ間で共有します。施設で提供されるサービスや運営の方向性を整理し、スタッフにブランディングの必要性を共有しましょう。経営者の、施設やサービスへの思いをスタッフに伝えることで、より一体感を促進しブランド確立につながります。

市場や競合他社の分析と戦略の立案

介護業界におけるブランディングには、市場や競合他社の分析が重要です。競合他社を知らなければ、自分たちの施設が提供しているサービスの魅力や強みを知ることはできません。スタッフは自分たちの魅力や強みを知ることで、やる気や自信を持てるため、業務効率化にもつながります。ブランディングには、競合他社との差別化が重要です。差別化するための一つの方法に「SWOT分析」があります。「SWOT分析」については、後ほど詳しくお伝えします。 

ホームページや営業ツールなどの見直し・作成

インターネット通信の向上にともない、Webでの情報発信は今や必須です。ケアマネジャーや介護サービスのスタッフ、利用者様は、インターネットから情報を得ていることがほとんどです。そのため、介護施設や事業所が公式ホームページを作成し運営することはブランディングに必要でしょう。

また、営業ツールとして、FacebookやInstagram、Twitterなどで情報を発信することも重要です。施設や事業者が素晴らしいサービスに取り組んでいたとしても、その情報を発信できなければブランディングは難しいでしょう。ユーザーのニーズに合った、見やすいホームページの見直しや作成、SNSでの情報発信は必須です。

ターゲットのニーズに合わせて最適化

ブランディングとは、ブランドを作って終わりではありません。ブランドを継続的に確立していくことが重要です。利用者様や介護サービスなどの関係者と、継続的に必要に応じて、最適化していきましょう。そのため、利用者様やご家族の反応を把握することが重要です。
ターゲットとなる関係者に定期的なヒアリング・リサーチ、アンケートなどを実施することで、ニーズを把握でき、スタッフにもさまざまな情報を共有できるため、状況に合わせた変化がしやすくなります。ターゲットとなる利用者様や他の関係者と、密接なコミュニケーションを取っていくことで、ブランドの価値は高まっていきます。

介護施設の経営戦略にも使える「SWOT分析」とは?

前述で少し触れましたが、介護施設が競合他社との差別化を図るための重要な要素に「SWOT分析」があります。「SWOT分析」とは、企業や介護施設などを分析するための方法です。

SWOTの「S」は「Strength(強み)」の頭文字で、「W」は「Weakness(弱み)」、「O」は「Opportunity(機会)」また「T」は「Threat(脅威)」を表しています。「強み」と「弱み」は、施設や事業所の内部分析であり、「機会」と「脅威」は、外部環境を示します。

「SWOT分析」の目的は、介護施設の強みや弱みを分析し、介護業界の激しい競合との競争を生き残るための戦略を立てることです。戦略の立て方は、まず介護施設の特徴や介護施設を取り巻く環境の現状を整理することから始めます。

介護施設の「SとW(強みと弱み)」と「OとT(機会と脅威)」の探し方

「SWOT分析」において、介護施設の「SとW(強みと弱み)」の探し方についてご紹介します。

まず、自分たちの施設が利用者様や地域住民の皆様、施設のスタッフからどのように評価されているかを考えます。思いついた事柄を書き出してみましょう。

「SとW(強みと弱み)」のいくつかの例をご紹介します。

「S(強み)」
  • 他の介護施設に比べて通所サービスや訪問介護など、広範囲にわたるサービス提供が可能である
  • 利用者様のプライバシーや状況に配慮した個室の提供が可能である
  • 施設がモダンできれいに整えられている
「W(弱み)」
  • スタッフが不足しているため、理想としたサービス提供が不可能である
  • スタッフの教育、研修を行えず、サービスの質や利用者様の満足度に悪影響がある
  • スタッフの労働条件が改善できず、介護サービス向上を促進できない

「S(強み)」と「W(弱み)」を書き出して把握した後は、外部環境である「O(機会)」と「T(脅威)」を見つけ出すために書き出します。

「O(機会)」と「T(脅威)」のいくつかの例をご紹介します。

「O(機会)」
  • 高齢者の増加にともない、介護施設への入所希望者が増加している
  • 質の高いサービスを提供するデイサービスの人気が増加している
「T(脅威)」
  • 競合他社の増加により利用者様の獲得競争が激化している
  • 介護分野での慢性的な人材不足により、介護職員の確保が難しくなっている

以上、いくつかの例を書き出しました。当事者になると、客観的な分析を行うのは難しいでしょう。介護施設内で働いているスタッフにとっては当たり前のことでも、客観的に見ると強みや弱みにあたる事柄は少なくありません。また、施設が目指している方向性のような主観的な見方を入れると、さらに良い分析を行うことが可能です。

「クロス分析」を使った介護施設における経営戦略

介護施設の「SWOT」を探した後、「クロス分析」を行います。「クロス分析」とは、介護施設における4つの「SWOT」から2つの要素を選び出し、組み合わせる分析方法のことです。

組み合わせ方法は、施設内部要因である「強み」と「弱み」と、外部要因である「機会」と「脅威」との組み合わせになります。たとえば、「SWOT分析」で書き出した要素を「S(強み)」と「O(機会)」、また「S(強み)」と「T(脅威)」と当てはめて分析し、経営戦略を考えていくことが可能です。

具体的には、以下のような「クロス分析」を行います。

「S(強み)」と「T(脅威)」で経営戦略を立てる

目的:施設の強みを活かし、脅威を退けるための方法を分析する
施設の強みである広範囲のサービスをアピールし、増加する競合他社とサービス面での質に関して差別化を図る

「クロス分析」を行う際、事前に大まかな方向性を決めておくことが重要です。たとえば、「攻め」の経営戦略、もしくは「守り」の経営戦略を取るのかを事前に決めておけば、今後の経営方法が明確になります。

「攻め」の経営戦略を取る場合「S(強み)」の要素に他の要素を組み合わせます。また、「守り」の経営戦略を取る場合「W(弱み)」の要素に加えて他の要素を当てはめることが可能です。「W(弱み)」の要素を克服できる場合「S(強み)」に変わり、「攻め」の経営戦略を取れる場合があります。

まとめ 介護施設を発展させるために広告媒体を見直しましょう

今回のこの記事では、競争の激しい介護業界で生き残るため、介護施設の稼働率向上を目的とした「ブランディング」と、多くの運営企業・施設で採用されている「SWOT分析」について徹底解説してきました。

日本の少子高齢化にともない、介護施設の需要が高まっている中、介護施設の数も増加しています。介護施設の増加は、利用者様にとって選択肢の増加を意味しています。これからの介護施設は、利用者様から選ばれる介護施設でなければなりません。そのため「ブランディング」、「SWOT分析」により、利用者様が満足できるサービスを提供し、競合他社との差別化を図っていくことが重要です。

そして他社とは違う、自分たちの施設が提供するオリジナルサービスが確立できたならば、それを周知してもらうための広告媒体が必要です。効果的な広告媒体に「公式ホームページ」があります。介護施設や事業所が公式ホームページを作成し運営していくには、ここでもブランディングが必要でしょう。公式ホームページを制作する際、利用者様やご家族のニーズに合い、オリジナルサービスを魅力的に伝えるため、業界に特化したホームページ制作会社に依頼することをおすすめします。

新規利用者様の獲得・集客に困っておられる施設の経営者や担当者は、ぜひ公式ホームページ制作をご考慮ください。
株式会社ITreat(アイトリート)は、医療分野に特化したプロのスタッフがホームページ制作を行っています。介護・リハビリ業界においてのホームページ制作経験もございます。お気軽にご相談ください。

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S・OGAWA

執筆者

S・OGAWA

株式会社ITreat

Webディレクター/リーダー

大手求人情報誌のデザイナー、インハウスのWebデザイナーを数年経験。Webディレクターに転身後、Web事業を展開している上場企業を経て、2019年に株式会社ITreat入社。現在は病院・クリニック・リハビリ施設サイトのディレクションを担当。社内外のSEO対策にも従事。

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