クリニックで行う研修・勉強会のメリットや成功ポイントを解説!

人材育成/スキルアップ

最終更新日:2024/04/25

公開日:2024/04/19

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医科・歯科のクリニックにおいて、診療・接遇といったサービスの質を保つためには、定期的な研修教育の環境を整備することが求められます。

この記事では、研修を成功させるためのポイント、具体的な実施方法、おすすめの教育インフラについてお話します。教育や育成にお困りの院長先生は、ぜひ参考にしてください。

院内のスタッフの教育・研修を行うことで得られる4つのメリット

スタッフの研修や育成は、クリニックの安定経営に大きく寄与します。スタッフの研修や育成が必要な理由は、以下の4つです。

  • 患者満足度の向上
  • 採用や離職率の低下に好影響
  • 医療事故・インシデントのリスク低下
  • 業務効率の改善

患者満足度の向上

スタッフの研修や育成は、患者満足度の向上に直結します。適切な研修を受けたスタッフは、コミュニケーション力や専門知識が高まり、患者さんに寄り添った質の高い医療サービスを提供できます。その結果、患者はより質の高い医療を受け、満足度が向上します。患者さんの満足度が向上することにより、再診率が上がり、安定的な経営に繋がります。また、主にGoogleマップの口コミ対策にも有効だといえます。

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採用や離職率の低下に好影響

従業員の定着率を高めるためには、スキルアップの機会を提供し、やりがいを持たせることが重要です。きちんとした研修制度があり、成長を実感できる環境は、優秀な人材を惹きつける大きな魅力となります。逆に育成が不十分で将来のキャリアビジョンが描けないような職場だと、優秀な人材が定着しづらくなってしまいます。継続的な研修を通じて従業員のキャリアを重んじることは、優秀な人材の採用と定着につながります。
ただし、時間外や休日を利用した過度な教育研修は逆効果に働く可能性もありますので、注意しましょう。

医療事故・インシデントのリスク低下

医療の現場では、些細なミスが重大な事故に発展する危険性があります。定期的な研修によって、医療事故や情報事故の事例を学び、対策方法を院内で浸透させることができます。
また、院内でのヒヤリハットの事例共有なども行うことで、リスクに対する感度を常に高く保つことができます。研修の機会を設けることは、医療事故やインシデントの未然防止につながり、安全で質の高い医療を提供するためにも不可欠です。

業務効率の改善

研修を通じてスタッフのスキルや知識が充実すると、必然的に業務効率UPが期待できます。
例えば、他院の業務効率改善の事例を学んだり、ITツールの導入などにより、業務を合理化できます。また、研修によりコミュニケーション力が身につけば、患者対応がスムーズになり、業務が円滑に進められます。

スタッフの研修を行う上での4つの成功ポイント

研修や育成をクリニックの文化として根付かせ、またスタッフが主体的に研修に取り組むことができるようにするにはいくつかのポイントを抑えておく必要があります。

  • 法人の理念を浸透させておく
  • 研修の意義を理解させる
  • 業務マニュアルを定期的にアップデートする
  • 研修にかかる費用を事業所側で負担する
  • 時間外の時間で過度に研修を行わない

法人の理念の浸透・研修の意義を理解させる

研修を効果的に行うためには、スタッフ一人ひとりがクリニックの理念や目指す方向性を深く理解していることが重要です。理念が浸透していれば、研修の目的や必要性を自然と認識できるようになります。

理念浸透のためには、採用時の研修や定期的な理念共有の場を設ける必要があります。単に理念を伝えるだけでなく、具体的な事例を交えながら丁寧に説明し、スタッフ自身にも考えさせることが大切です。また、経営陣自らが理念に基づいた行動を率先して示すことで、スタッフに良い影響を与えることができます。
理念が浸透すれば、スタッフ自身が研修への意欲を持つようになり、主体的な学びが可能になります。結果として、高い資質を備えたスタッフの育成につながり、理念に沿った質の高い医療の提供を実現できるでしょう。

研修の意義を理解させる

スタッフに研修への意識を高めてもらうには、その研修の意義や業務における課題感を把握してもらう必要があります。単に研修への参加を義務づけてしまうと、漫然とした気持ちで過ごしてしまい、得られるはずの学びも得られずに終わってしまいます。
例えば、
「患者さんに、もっと気持ちよくなって帰ってもらいたい」
「自費の割合を50%まで引き上げたいので協力してほしい」
「自身のキャリアップについて考えよう」
など、研修が与える具体的なメリットを示すことで、スタッフの納得が得られやすくなります。研修のカリキュラムと期待される効果を明確に提示することも有効でしょう。

また、実際に研修を受けたスタッフの体験談を共有したり、成功事例を示したりすることで、研修の意義がより実感できるはずです。さらに、研修を受けることで資格取得が可能になったり、将来的なキャリアアップにつながることなども説明すれば、モチベーションの向上が期待できます。

業務マニュアルを定期的にアップデートする

業務マニュアルは、研修を実施する上で欠かせないツールです。マニュアルには最新の知識や手順が反映されている必要があり、定期的なアップデートが求められます。
マニュアルを常に最新の状態に保つためには、制度やルールの変更、業務の見直しなどがあれば、すぐにマニュアルを更新する体制を整備することが重要です。更新作業の役割分担や手順を明確にし、適切な時期にアップデートできるよう徹底する必要があります。

また、マニュアルの内容を定期的に見直し、わかりにくい記述や不備がないかを確認することも大切です。現場のスタッフの意見を反映させ、実務に即したマニュアルを作ることで、より実践的な研修が可能になります。
最新のマニュアルを用いた研修を行うことで、常に正しい知識やスキルを身につけさせることができます。マニュアルの改善・更新のサイクルを確立することが、効果的な研修の鍵となるのです。

研修にかかる費用を事業所側で負担する

研修を実りあるものにするには、費用面での配慮が必要不可欠です。研修の機会を確保するためには、費用をスタッフ個人に負担させるのではなく、事業所側が費用を負担する体制を整える必要があります。
スタッフ個人に費用を求めると、経済的な理由から研修を受けられない人が出てくる恐れがあります。一方、事業所が費用を負担すれば、公平にスタッフ全員が研修を受けられる環境を作ることができます。

また、事業所側が費用を負担することで、質の高い研修機会を確保できます。優秀な講師を招聘したり、専門的な研修に通わせたりできるようになり、研修の質を高められます。結果として、スタッフの資質向上につながります。
研修は、事業所が人材育成に投資するものと捉えるべきです。事業所としての費用負担は、医療の質を高め、患者満足度を上げることにつながります。効果的な研修を実現するためにも、費用負担体制の整備は重要なポイントになります。

時間外の時間で過度に研修を行わない

研修は、医療の質を高める重要なプロセスですが、過度に行われれば、かえってスタッフの負担が大きくなってしまう恐れがあります。スタッフの健康とワークライフバランスを考慮し、時間外での研修には一定の制限を設けることが求められます。

例えば、勤務時間内でできる範囲の研修を行い、長時間の研修は勤務時間外に行わないというルール作りが考えられます。また、1日あたりの研修時間に上限を設け、過度な時間外労働とならないよう配慮することも重要でしょう。

研修のスケジューリングにも工夫が必要です。業務の空き時間を上手く活用したり、業務で忙しい時期は研修を控えめにしたりと、スタッフの負荷に気を配る必要があります。
このように、研修とスタッフの健康を両立させることが大切です。過度な研修は、スタッフのストレスを高め、離職の一因にもなりかねません。研修を効果的に行うためにも、時間管理に十分に気を付ける必要があるのです。

クリニックで行われる研修の実施形式

歯科やクリニックでスタッフ研修や育成を実施する方法は、主に以下の4つです。

  • 経営者やスタッフ同士での研修
  • 外部から講師を招聘する
  • 研修・育成ツールの利用
  • 外部の研修に参加する

経営者やスタッフ同士での研修

看護師が医師に教わる

クリニック内で経営者やベテランのスタッフが講師となり、研修を実施する方法です。
自院の実情に合わせた具体的な内容を扱えるのが最大のメリットです。それぞれの医院で診療メニューや経営理念も様々です。すべての研修内容が、そのまま実務で生かされますので無駄がありません。また、コストをかけずに行うことができるのもメリットといえるでしょう。
ただし、講師役の負担が大きくなる可能性や、外部から最新の知見を得づらいというデメリットもあります。

最近では、院内でマニュアルや知見を共有でき、知的財産をストックできるツールも誕生しています。スマホで撮った動画をそのまま院内のマニュアルとして、全スタッフに浸透させられるので、分院があったり、なかなかスタッフ全員を集めることができない場合にも効果を発揮します。

外部から講師を招聘する

外部の専門家や識者を講師として招き、クリニック内で研修を行う方法です。最新の知見や専門的な内容を得られるメリットがあります。

歯科医療の進歩や法令改正など、外部の動向を反映した研修が可能になります。また、講師の客観的な視点から、自院の課題や改善点を浮き彫りにすることもできます。さらに、講師の話を聞くことで、スタッフの意識改革やモチベーション向上も期待できます。

ただし、講師料などのコストがかかることがデメリットです。内容の精査や準備を十分に行い、費用対効果を考慮する必要があります。

参考:うえだ整形外科クリニック 外部講師を招いた接遇研修

研修・育成ツールの利用

e-ラーニングやマルチメディア教材など、研修用のコンテンツやツールを活用する方法です。効率的に学習できることがメリットです。

スタッフ一人ひとりのペースで学習が可能で、教育の標準化も図れます。また、営業時間外や空き時間に柔軽に学べるため、業務への影響を最小限に抑えられます。さらに、わかりやすい動画や図解なども用意されているので、理解が深まりやすいでしょう。

ただし、コンテンツの質や合目的性を慎重に見極める必要があります。また、どうしても目の前に講師がいる状態での研修にならないため、漫然とした時間を過ごさせてしまうケースもあります。研修終了後には、院内で研修のアウトプットを行う場をとるなど、主体的に研修にとりくめる環境づくりも重要です。

外部の研修に参加する

医療系の学会や専門機関が主催する外部の研修会に、スタッフを参加させる方法です。多様な内容の研修を受講できることがメリットです。

医療の最新動向を幅広く学べるほか、他院のスタッフとの交流を通じて、新たな気づきを得ることもできます。また、資格取得を目指す研修も用意されていることが多く、スタッフのキャリア形成を支援できます。

一方で、参加費用がかかることや、外部開催のため移動の手間がかかるというデメリットがあります。また、研修時間の確保が難しい場合もあり、スケジューリングが課題になります。参加者の知識レベルに合わせた効果的な研修選定も重要です。

このように、多様な研修形式の特徴を把握し、クリニックの実情に合わせて使い分けることが求められます。組み合わせによっては相乗効果も期待でき、バランスの取れた研修体制を構築することが理想的です。

参考:井戸田整形外科 名駅スポーツクリニック様 第10回日本スポーツ理学療法学会学術大会で発表しました

クリニックにおすすめの教育・研修インフラ

スタッフの能力や知識を向上させるためには、定期的な研修や教育の場を設けることはもちろん、基盤となるインフラを整えておくことも有効です。
例えば、下記のようなものです。

  • 業務日報・日誌
  • 業務マニュアル
  • eラーニングシステム

業務日報・日誌

業務の記録を残すことは、スタッフの能力向上やノウハウの共有に役立ちます。

具体的には、1日の業務内容や気づいた点、疑問点などを日報や日誌としてまとめ、スタッフ間で共有します。これにより、個々のスタッフが経験を振り返り、自身の強みや弱みを把握できます。また、優れた実践例を参考にすることで、スキルアップのヒントが得られます。上司は日報を確認することで、部下のレベルを正確に把握し、適切な指導や助言ができます。

また、経営者が部下の不安や不満を発見できる場にもなりますので、離職を防ぐ手段としても有効です。

業務マニュアル

業務マニュアルがあれば、業務のフローやルールの基準をつくることができ、作業のクオリティを保つことができます。新しいスタッフが入ってきたときにも、早期に戦力になりやすいです。

マニュアルを常に最新化し、改訂履歴を残すことが重要です。外部から得られた知見や最新の機材や薬品などの知識を定期的にマニュアルに落とし込むことが重要です。

最近では、電子マニュアルの導入も増えています。スマホで撮った動画や画像にコメントを付ける形で、簡単に体系化されたマニュアルを作成できますので、忙しい診療の合間にでもマニュアルを整備することができます。

マニュアルの参考:いりたに内科クリニック様 新卒採用サイト

eラーニングシステム

eラーニングシステムを導入することで、時間と場所を選ばずに効率的な学習が可能になります。

動画教材やテストなどのコンテンツを自身のペースで繰り返し学習できるため、着実な知識の定着が期待できます。また、進捗状況の管理や、学習履歴のトラッキングも可能です。

さらに、コミュニケーション機能を活用すれば、スタッフ同士で質問し合ったり、意見を共有したりできます。アンケート機能を使えば、学習ニーズの把握にも役立ちます。

eラーニングは費用対効果が高く、営業時間外の学習にも適しています。質の高いコンテンツを準備し、ブレンディッド型学習と組み合わせることで、より効果的な研修環境を実現できるでしょう。

このように、業務日報、マニュアル、eラーニングシステムなどの基盤を整備することで、スタッフ教育がスムーズに行え、知識・能力の向上が期待できます。クリニック全体の底上げにもつながるインフラ整備は、極めて重要な取り組みと言えます。

まとめ

この記事では、クリニックにおける研修のメリットやその実施方法についてご紹介してきました。

歯科やクリニックなどの医療機関が効率よく運営されていくためには、スタッフの研修と育成は欠かせません。研修を実施していくことで、業務での接遇を改善でき、歯科やクリニックのよい評判につながります。また、新人スタッフの技術やスキルアップにつながり、業務に取り組むモチベーション向上にも効果的です。

しかし、どのように研修や育成を進めていけばよいのか手探りで進めている歯科医院やクリニックも多いでしょう。そんな場合は、その道のプロである業者や、特化したサービス・ツールを頼ってみるのも一つです。バランスよく導入し、自院の方針にあった研修や育成の方法を見つけていきましょう。

弊社では、スタッフ研修に役立つ動画マニュアルのツールをおすすめしております。気になる方は気軽にお問い合わせください。

D・MIZUNAGA

執筆者

D・MIZUNAGA

株式会社ITreat

執行役員・Webディレクター

大手人材系企業で医療業界のキャリアコンサルタントとして勤務したのち、ITベンチャーへ転身。現在は株式会社ITreatの執行役員として、主に病院やクリニックのWebサイト制作、採用課題の解決、SEOコンサルティングを行う。キャッチコピーは「関わるすべての方とのWin-Winを作る」。

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