看護師がすぐ辞めるのはなぜ?その理由と今すぐできる対策を解説!

人材育成/スキルアップ

最終更新日:2024/04/12

公開日:2024/03/12

看護師_離職率

病院やクリニックにおいて「看護師不足」は今や”あるある”の悩みです。
厚労省の調査によると、日本全体で就業している看護師の人数は年々増加傾向にあり、2020年には173万人と過去最高の人数に達しています。また、そのうちの約8割にあたる135万人が病院もしくはクリニックで勤務をしています。

その一方、高齢化にともない介護サービスにおける看護師の需要が高まっていることもあり、2022年における看護師の有効求人倍率は全職業の平均値の約2倍の「2.20」という数値であり、確保するのが難しい職種です。
(出典:厚生労働省 「看護職員の需要推計と有効求人倍率」

この記事では、元キャリアアドバイザーで看護師の転職支援サービスを行っていた私が、看護師がすぐ辞める理由と、その対策について解説します。「看護師が辞めない職場づくり」のために、今すぐできることは何があるのでしょうか?

「また辞めた。。。」医療機関における看護師の離職率

「またすぐ辞めちゃったんだよ・・・。あの看護師さん。」
クリニックの院長先生や、病院の事務長から毎日のように聞かれる、医療機関における看護師の早期離職。
日本看護協会の調査によると、2021年度における正規雇用の看護職員の離職率は11.6%です。特に既卒に絞って見ると16.8%と、およそ6人に1人が採用して1年未満で退職をしてしまう現状があります。
離職率の推移

この数字は、国公立の病院や日赤、社会福祉法人などを含んだ看護師全体の平均であり、クリニックなどの個人が運営する事業所に限定すると、既卒採用者の離職率はなんと32%と、約3人に1人が1年未満での離職をしています。
既卒採用者の離職率
参考:日本看護協会 2022年 病院看護実態調査

ハローワークだけでなく、有料の求人媒体や人材紹介会社など、あらゆる手を尽くして採用した人材が、1年たたずして退職していくのは、とても残念な事です。
では、看護師はなぜすぐ辞めてしまうのでしょうか?代表的な理由を見ていきましょう。

看護師がすぐ辞める理由5選

家庭の事情

厚労省によると、看護師の約91%は女性です。
男女の働き方が徐々に均一化されているとはいえ、まだまだ子育ての中心は女性であり、結婚・出産・育児などのライフイベントによる転職は非常に多いといえます。大きな病院であれば、人事異動で子育てしながら働きやすい部署への配置転換できるケースもありますが、従業員が10名ほどのクリニックでは、看護師本人がライフイベントに引け目を感じて自ら退職するケースも多いです。

また、多くの看護師から聞かれる転職の理由として「旦那さんの転勤」が挙げられます。全国に拠点のある企業や自衛隊など、転勤の頻度が高い夫を持つ看護師さんは、頻繁に夫の転勤による転職を余儀なくされます。

出典:厚生労働省 令和2年_衛生行政報告例_就業医療関係者_概況

職場の人間関係

看護師の転職相談を受ける中で、非常に多い転職理由に「人間関係」があります。
病棟ですと、師長や主任といった上司とうまくいっていないケースや、同期で入職した看護師から取り残されているようにとらえて居心地が悪くなるケースも多いようです。

クリニックにおいてよく聞かれるケースとしては、いわゆる「お局(つぼね)さん」の存在です。お局さんは、経営者からすると長く働いてくれていて、仕事のことを何でも任されられる頼りがいのある存在です。しかし、新人看護師にとってはしばしば悪い方に働きます。古くからその職場に勤めているプライドから、自分のやり方にそぐわない新人看護師に対して、必要以上に強くあたるケースも少なくありません。ひどい場合には「パワハラを受けた」と訴えることもあります。

こういった人間関係のトラブルは、経営者の目の届かないところで起きるケースがほとんどで、院長先生が早期離職の本質に気づかないまま終わることもあります。

参考:厚生労働省 パワーハラスメントの定義について

教育体制に不安がある

看護師のよくある退職理由の一つに「教育体制への不安」があります。
新卒の看護師は、そのほとんどが大きな総合病院へと就職をします。入職してすぐ座学が始まり、その後ラダー制度に基づいたしっかりとした研修を受けてから、現場に配属されます。現場に配属されてからも、PNS(パートナーシップナーシングシステム)制度のもと、先輩と二人三脚で業務を行うことが多いため、教育制度に不安を覚えるシチュエーションはあまりないと言えます。
そんな看護師が、転職でいきなり個人病院やクリニックに就職をすると、その教育制度にギャップを感じてしまうのです。あたかも個人伝承かのように、業務の内容を口頭で聞かされ、マニュアルが文書化されていないことに対して、不安を覚えるのです。

また、キャリアアップのモデルケースとなるような先輩がいない職場では、将来に期待を持てないことを理由に辞めてしまうこともあります。

労働環境・労働条件のギャップ

看護師の仕事内容は、肉体的にも精神的にもハードになりやすいです。
患者さんを対象とした仕事であるがゆえに肉体労働が多く、また人手不足な職場が多いために残業も発生しやすいです。特に病棟勤務においては、通しの夜勤も発生するために、生活のリズムが崩れやすいのです。
転職を検討している看護師との面談の場では、「土日に休みたい」「年収を増やしたい」「子どもの病気のときに休みたい」といった、労働条件が話題に上がることが多いです。この事自体は、看護師だけに限ったことではないのでしょうが、看護師を募集する求人は星の数ほどたくさんありますので、その労働条件を叶えられる転職先がすぐに見つかってしまうのも、早期離職が増える一つの要因です。

入職前の話とのギャップ

「面接のときと話が違う」
早期離職を検討する看護師から、しばしば聞かれるセリフです。面接を担当する、事務長や院長先生としては、一刻も早く人材不足を解消したい、他の医療機関に取られたくない、という思いから、院内見学や面接の時に一生懸命に自院をPRします。
しかし、実際に入職するとその行動が裏目に出ることが多いのです。「こんな業務をするなんて聞いていない」「前の職場では、これは看護師の仕事ではなかった」「思ったより残業が多い」「しっかり教育してくれると聞いていたのに」などなど、入職前のイメージとのギャップが早期離職につながるケースも多々あります。

多すぎる看護師の選択肢

看護師の転職先の選択肢は、非常に多岐にわたります。

看護師の選択肢の例
  • 病院(総合病院・急性期・慢性期・ケアミックスなど)
  • 介護施設
  •    ・介護老人保健施設
       ・特別養護老人ホーム
       ・有料老人ホーム
       ・デイサービス
       ・訪問入浴

  • クリニック
  •    ・一般外来
       ・透析
       ・美容などの自費系

  • 幼稚園・保育園
  • 医療機器メーカーや治験コーディネーター
  • 一般企業(保健師や産業看護師として)

こうして並べてみると、臨床検査技師や理学療法士などのコメディカルと言われる他の職種と比較しても圧倒的に選択肢の幅が多いと言えます。転職を検討している看護師さんからすると、自分の理想的な働き方が叶えられる職場が見つけやすい状況といえます。
逆に経営者の立場から言うと、他に移られてしまいやすい環境であると言えます。

出典:日本看護協会 活躍の場・資格が生かせる分野

早期離職には3つのデメリットがある

入職して半年以内での早期離職されてしまうと、経営者側にはどんなデメリットがあるのでしょうか?これまで私が、多くの院長先生や事務長のお話をお伺いした経験から、早期離職には下記3つの代表的なデメリットがあると考えています。

デメリット①:コスト面でのデメリット

看護師の採用には、他のコメディカルよりも高いコストがかかるものです。
例えば、地域の求人誌や求人系型のサイトであれば、1回の掲載で20〜30万円かかることもあります。早期離職に至って、再度募集をする場合、また同じだけの費用がかかってしまいます。

人材紹介会社を利用して採用した看護師の場合、コスト面でのデメリットが更に大きくなります。人材紹介会社の紹介手数料は、その看護師の年収の25〜35%が一般的です。つまり、日勤帯だけ働く常勤の看護師を採用した場合でも、紹介手数料は100万円をゆうに超えるのです。人材紹介会社を通して採用した看護師が早期離職した場合、その期間に応じて返金されますが、全額返金されるのは1週間以内に辞めた場合に限定しているケースが多いのが現実です。

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デメリット②:採用や教育の時間が無駄になる

一人の人材を採用して、職場で戦力になるまで成長させるためには、ある程度、経営者や既存スタッフの時間を使うことになります。
例えば、下記のような業務に時間を割かれることになります。

  • 各種求人媒体への掲載作業
  • 採用面接
  • 職場見学や体験の対応
  • 入社前オリエンテーションや雇入れに関する手続き
  • 入社時研修
  • 現場での指導や研修(OJT)
  • 入職後のフォローや面談

1人の看護師が戦力になる前に早期離職に至ってしまうと、上記のような時間がすべて水の泡となってしまうのです。

デメリット③:院内の人員体制に関するデメリット

お金や時間がロスになることに加えて、現場への人員的な負担も非常に大きいです。
特にクリニックの場合、看護師1名が急にいなくなることによる影響は大きく、連鎖的に他のスタッフが退職を申し出るようなケースも少なくありません。次の看護師が入職するまでの間、マイナス1名の配置でシフトを回さざるを得ないため、現職のスタッフの心理状態や売上に関する悪影響が発生しかねません。

早期離職が多い職場の特徴

看護師が長く定着し、一度採用すると長期にわたって新規の採用を行わない事業所もあれば、その逆で、「入ってはすぐ辞める」をくりかえすような職場も存在します。後者の場合、地域の看護師の界隈で、「あのクリニックの求人はしょっちゅう出る」という印象がついてしまい、応募数が減少してしまうことにも繋がりかねません。
では、早期離職が頻発する職場には、どのような特徴があるのでしょうか?

特徴① 教育体制が整っていない

看護師に限った話ではありませんが、教育体制の整備ができていない職場は早期離職が多くなります。ルールや業務がマニュアル化されていないため、何をどうすればよいかわからないためです。
特定の教育担当のスタッフが、手取り足取り教えられる期間を設けられればよいのですが、実際の医療現場ではそうはいかないのが現実です。特に特殊な機材や機械を使った手技が必要なケースにおいては、特に充実した研修が求められるでしょう。

スタッフの長期雇用に成功している、あるクリニックの経営者のお話をお伺いしたところ、スタッフの行動原則やルールを細かく言語化した冊子を全スタッフに携行させているようです。また、ITツールなどを上手につかって、手技や患者さんへのコミュニケーション方法をいつでも学べる環境を構築されていらっしゃいます。

特徴② スタッフ同士の仲が険悪である

看護師は人間関係を理由にした退職が多い職種です。
既存のスタッフ同士の雰囲気が悪かったり、特定のスタッフが権力を持っていて、高圧的な態度を取るような場合には、新人が萎縮してしまうことも多いです。
特に新入職員は、業務のあらゆる面で先輩に質問しなければならないシチュエーションが多いため、既存のスタッフが険悪であれば、「話しかけづらい」「歓迎されていない」といった印象をかかえたまま退職を考えるようになります。

特徴③ ハードワーク・残業が多い

前提として、医療現場は肉体労働になりやすく、ハードワークになりやすいといえます。しかしその中でも、特に忙しい現場というのが存在します。
力仕事がとても多かったり、お昼休みを十分に取れなかったりと、事前のイメージよりもハードな職場である場合には、退職のリスクが上がりやすいです。
また、残業時間が極端に多く帰宅時間が遅くなることで、家庭に影響を与えることも退職の理由になります。

特徴④ 相談できる相手がいない

新しい職場では、ゼロから人間関係を築く必要があり、職場で困りごとについて相談できる相手がいないことがあります。最初は小さな悩みだったとしても、日を追うごとに不安が大きくなってくることも起こりえます。
新人スタッフの定着に力を入れているクリニックでは、入職後、1週間・1ヶ月・3ヶ月のタイミングで院長との個人面談を実施していることもあります。また、日々のちょっとした相談ごとでも、気軽に相談できるような、院内チャットでコミュニケーションを取れる仕組みを用意するケースも見受けられます。

すぐにでもできる早期離職対策

対策① 職場環境に関するヒアリングを行う

早期離職が多い場合には、既存のスタッフへのヒアリングを行うことをおすすめしています。個人別に面談を行い、業務における課題感や、新人研修における手順や方法、業務環境の見直しポイントをヒアリングしましょう。また、新人スタッフを定着させるためのアイディアなどを一緒に考えて対策を講じても良いと思います。

院長先生や人事担当者が多忙で、ヒアリングに割ける時間がない場合は、外部のコンサルタントやアドバイザーに頼っても良いかもしれません。

対策② 入職後のフォロー体制を徹底する

新しいスタッフは孤独感や不安感を感じやすく、既存のスタッフよりも退職のリスクが高いものです。経営者自らこまめに話しかけたり、教育担当のスタッフから報告をあげてもらうなどすれば、辞める前に対策を打つことができます。
また職場のルールとして、入職後1週間、1ヶ月のタイミングで面談の場を設けるのも有効です。面談の場では、わからないことや困ったことがないかをヒアリングした上で、まずはクリアしてほしい低めの目標を具体的に伝えることが有効です。新人看護師の目指す方向性やミッションを具体的に示してあげることで、安心する看護師も少なくありません

対策③ 院内研修やコミュニケーションのツールを導入

医療現場において、院内の業務やルールを文章化したマニュアルを作るのは一朝一夕にはいかないものです。外部の業者にマニュアルの作成をお願いする事もできますが、100万円単位の出費になります。
そこで、すぐにでも導入できるのが、院内研修アプリです。スマホで撮影した動画をそのまま院内で共有したり、業務の手順やルールをスマホで書いて投稿することで、簡単にマニュアルを作成することができます。

また、「院内SNS」としての役割も果たします。スマホで簡単にスタッフ同士のコミュニケーションを行うことが可能になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

この記事では、「看護師の早期離職」に関して解説いたしました。看護師がすぐやめて困っていらっしゃる先生や人事担当の方は、すぐにでもできる対策方法がありますので、ぜひ実践してみてください。
また、採用関係・人事関係のお困りごとなどがございましたら、遠慮なく弊社までお問い合わせくださいませ。

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執筆者

D・MIZUNAGA

株式会社ITreat

執行役員・Webディレクター

大手人材系企業で医療業界のキャリアコンサルタントとして勤務したのち、ITベンチャーへ転身。現在は株式会社ITreatの執行役員として、主に病院やクリニックのWebサイト制作、採用課題の解決、SEOコンサルティングを行う。キャッチコピーは「関わるすべての方とのWin-Winを作る」。

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