バーチャル株主総会とは?基本情報から実施する注意点まで徹底解説

新型コロナウイルス感染症の影響でライブ配信による株主総会、いわゆる「バーチャル株主総会」を開催する会社や企業が増えています。参加者として実際に参加されたことのある方もいるでしょう。では、バーチャル株主総会を開催するためには何が必要なのでしょうか。

この記事では、バーチャル株主総会のメリットとデメリット、そして開催時のポイントや注意点について徹底解説していきます。過去に実施した成功事例と合わせて紹介しますので、バーチャル株主総会の開催を検討している方は、是非参考にしてください。

株主総会の役割

株主総会は、そもそもなぜ開催されるのでしょうか。株主総会は、決算や役員人事に係る重要事項を決議することが目的です。その目的を果たすために、会社や企業と株主の間で討議や審議をする場が必要となります。そのため株主総会は、株主にとって重要な会社情報が提供される場という役割が求められます。
上場会社では近い将来、そのような情報がデジタルで提供されることになっています(改正会社法325条の2以下、社債、株式等の振替に関する法律159条の2。未施行)。なお株主総会は、決算日から3か月以内に開催しなければならないと定めされています(会社法124条2項に基づく)。

バーチャル株主総会とは?

会社法では株主総会の開催について、日時と場所を定めて招集を行うこととされています。この場合の「場所」とは、物理的に存在する場所のことを指されています(会社法第298条第1項第1号)。

この定義に対して、バーチャル株主総会とは、インターネットなどを利用したいわば「仮想空間で行われる株主総会」のことです。バーチャル株主総会の開催方法の一つとして、「ハイブリッド型バーチャル株主総会」と呼ばれる開催方法があります。ハイブリッド型バーチャル株主総会は、現地で行われる総会(リアル株主総会)を開催しつつ、同時進行でライブ配信ででも行われる株主総会のことです。
現行会社法の一般的な理解では、この「ハイブリッド型バーチャル株主総会」は可能であるとされています。その理由は、同時進行でリアル株主総会が開催されているからです。2020年1月26日に経済産業省が「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を公表し、実務でも参照されています。また、リアル株主総会を行わずオンライン配信のみで行う株主総会を「バーチャルオンリー型株主総会」と呼びます。

バーチャル株主総会が成長している背景

バーチャル株主総会が成長している背景には何があるのでしょうか。主に3つの理由が考えられます。

まず一つ目の理由に「インターネットの通信環境が向上」したことがあります。バーチャル株主総会を開催するには安定したインターネット環境が必要です。近年インターネットの通信環境が安定し、高品質なビデオ会議ツールなども出てきたことが、バーチャル株主総会の成長に寄与していると考えられます。
忙しい予定の中で、株主総会への出席者が同じ場所・同じ時間に一堂に会するということは時間的なコストが伴います。しかし、バーチャル株主総会を開催することによって、時間的なコストの削減につながり、最短のスケジュールで株主総会を組むことが可能です。

バーチャル株主総会が成長している背景には「新型コロナウイルスの感染対策になる」ことも挙げられます。役員と株主が同じ部屋に集まって株主総会を開催することは、3密(密閉空間・密集場所・密接場所)のリスクが伴います。3密を避けるための感染対策の一環としてバーチャル株主総会が成長しています。

さらに、バーチャル株主総会は「人材不足・業務コスト削減対策に効果的」です。日本では、バーチャルオンリー型株主総会は認められていません。しかし、人材不足からくる働き方改革や業務コストの見直しにより、バーチャル株主総会は今後も成長していく見込みです。実際、現段階で認められているハイブリッド型バーチャル株主総会の需要は高まっています。アメリカなどの諸外国では、すでにバーチャル株主総会が開催されており、過去10年間で急激な成長を遂げています。今後、日本でも完全なバーチャルオンリー型株主総会が認められるかもしれません。

日本で認められている株主総会の開催方法と種類

日本で認められている株主総会の開催方法について見ていきましょう。日本で認められている株主総会の開催方法は以下の通りです。

日本で認められている株主総会の開催方法
  • リアル株主総会
  • ハイブリッド型バーチャル株主総会「参加型」
  • ハイブリッド型バーチャル株主総会「出席型」
  • バーチャルオンリー型株主総会

ハイブリッド型バーチャル株主総会「参加型」とは、実際に現地に株主を集めるリアル株主総会を開催しつつ、その様子をリアルタイムでオンライン配信する開催方法です。たとえば、動画配信サービス「ニコニコ動画」には、動画をライブ配信する「ニコニコ生放送」というサービスがあります。株主総会の開催日時にアクセスすれば、リアルタイムでの株主総会に参加することが可能です。「参加型」では、オンライン参加している株主は、投票したりすることができません。そのため、オンライン参加している株主が投票できるように、事前に「議決権行使書の郵送」または「インターネットで投票を受け付ける」などの工夫が必要です。

ハイブリッド型バーチャル株主総会「出席型」は、リアル株主総会を開催しつつ、その様子をライブ配信する開催方法です。「参加型」と違う点は、オンラインで参加している株主が、リアルタイムで実際に会場で参加している株主と同じように権限を行使できるという点です。たとえば、Zoomなどの会議ツールシステムを利用して、役員と株主の間でインタラクティブなやりとりが可能です。しかし、インターネット環境が原因で、途中で通信が途切れてしまうなどのトラブルもあるため、その対策が求められます。

ハイブリッド型バーチャル株主総会の「参加型」と「出席型」の双方において、株主は参加のためにIDやパスワード、URLを株主側に事前に連絡しておくことが重要です。株主総会当日は、株主がIDやパスワード、そしてログイン認証を行い配信ページにアクセスすれば、リアル株主総会の様子をリアルタイムで視聴そして参加することが可能になります。リアル株主総会だけでなく、ハイブリッド型バーチャル株主総会を活用することで、パソコンやスマホ、そしてタブレットなどのデバイスから、インターネットを介して簡単にバーチャル株主総会に参加できるのは非常に魅力的です。

「バーチャルオンリー型株主総会」は、リアル株主総会を開催することはなく、オンラインのみで実施される株主総会のことです。会社法第298条第1項第1号では、株主総会の「場所」を定める必要が示されています。そのためオンラインのみで実施される「バーチャルオンリー型株主総会」は、会社法のもとで認められていませんでした。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、2021年6月16日に改正産業競争力強化法が施行されました。改正産業競争力強化法の施行により、定められた要件を満たす場合にのみ、バーチャルオンリー型株主総会の開催が認められるようになりました。

バーチャルオンリー型株主総会は、次の要件を満たしている場合にのみ、開催が認められます。

  • 上場会社であること
  • 経済産業大臣および法務大臣の確認を受けること
  • 定款で場所の定めのない株主総会を開催できる旨の定めがあること
  • 株主総会招集時に経済産業省令・法務省令の要件を満たすこと

バーチャル株主総会を実施するメリット・デメリット

バーチャル株主総会を開催するかどうかを判断するために、バーチャル株主総会を実施するメリット・デメリットを見ていきましょう。

バーチャル株主総会のメリット

バーチャル株主総会を実施するメリットには、「新型コロナウイルス感染拡大を防止できる」という点が挙げられます。リアル開催の株主総会の場合、多くの役員や株主が集まるため、大規模なクラスター感染が発生する危険があります。しかし、バーチャル株主総会であれば、実際に集まる参加者数を大幅に削減することができ、主催者・参加者の新型コロナウイルス感染症の感染を防止することが可能です。

遠方に住む株主も参加することが容易になる」点も、バーチャル株主総会を実施するメリットに含まれます。遠方の方がリアル株主総会に参加するには、時間と費用がかかります。しかしバーチャル株主総会の場合、これまでは参加することが難しかった遠方に住んでいる株主も、気軽に参加することが可能になります。

さらに、バーチャル株主総会であれば、会場費を削減することが可能です。ハイブリッド型バーチャル株主総会の場合、会場への参加とバーチャルでの参加で、参加者を分散することができます。リアル株主総会と比べて、実際の会場のキャパシティを絞ることで、費用の削減が可能となります。

バーチャル株主総会のデメリット

バーチャル株主総会を実施するデメリットは「運営側の負担が大きい」という点です。バーチャル株主総会を実施するとなると、動画配信のための通信機器を準備したり、インターネットの安定したネットワーク環境の構築が求められます。
さらにサイバー攻撃を想定したセキュリティ対策も必要です。オンライン参加者とのインタラクティブなやりとり、リアルタイムで議決権を行使したり質問したりできる機能の導入も考慮しなければなりません。このような「運営側の負担が大きい」ため、バーチャル株主総会を実施するには、予想外のトラブルの可能性も考慮に入れておく必要があります。

ハイブリッド型バーチャル株主総会のポイントと注意点

ハイブリッド型バーチャル株主総会の種類とポイントについて見てみましょう。

前述したように、ハイブリッド型バーチャル株主総会には「参加型」と「出席型」の2種類があります。それぞれのポイントや注意点について見てみましょう。

「参加型」のポイントと注意点

ハイブリッド型バーチャル株主総会「参加型」のポイントと注意点は、インターネット等を介して参加する株主が当日の決議に参加できないということです。そのため、参加する株主は、委任状等で代理権を授与する代理人による議決権行使を行うことが必要です。
さらに、インターネット等を介して参加する株主は、会社法上で認められている質問や動議を行うことができないということも挙げられます。しかし、株主総会の運営者の意向により、それらのインターネット等を介して参加している株主のコメント等を事前に収集して取り上げることは可能です。

「出席型」のポイントと注意点

ハイブリッド型バーチャル株主総会「出席型」のポイントと注意点は、サイバー攻撃などによる大規模な障害など通信手段の不具合です。そのような事象が発生し、インターネットなどの介して参加した株主の質問や動議、議決権行使ができなかった場合、決議に対して取消事由があると訴えを提起されるというリスクが発生します。
そのため「出席型」を開催する場合は、合理的なセキュリティ対策が求められます。また、株主の本人確認の方法、株主側からの質問や動議への対応、決議権行使の在り方などについても事前に検討しておく必要があるでしょう。

「参加型」と「出席型」のどちらが多い?

「参加型」と「出席型」とでは、どちらが多いのでしょうか。一般的に「参加型」がよく用いられているようです。

たとえば「2021年3月期決算会社の定時株主総会の動向について」という調査結果によると、「参加型」のハイブリッド型バーチャル株主総会を実施する予定の株主総会の数は、208社、そして「出席型」での実施は、わずか14社にすぎませんでした。

出典:2021年3月期決算会社の定時株主総会の動向について | 日本取引所グループ
https://www.jpx.co.jp/news/1021/20210426-01.html

バーチャルオンリー型とハイブリッド型のどちらを選択すべきか

ここまでバーチャル株主総会の開催方法について解説してきましたが、バーチャルオンリー型株主総会とハイブリッド型バーチャル株主総会のどちらを選べばいいのでしょうか。

2021年6月16日、経済産業省による改正産業競争力強化法実施を受け、上場会社においてバーチャルオンリー株主総会の実施が可能となりました。そして、2021年8月、株式会社ユーグレナが日本初となるバーチャルオンリー株主総会を実施しました。

ハイブリッド型バーチャル株主総会と比べるとバーチャルオンリー型株主総会は、開催の難易度が高いと言えます。バーチャルオンリー型だと、仮に通信障害が発生すると決議取消訴訟のやり直しに至る可能性があるためです。しかし、通信障害の対策や進行台本の準備などの事前準備を行うことで、トラブルに備えることが可能です。

まずは前述したバーチャルオンリー型の要件を確認しつつ、どちらの開催方法が適しているか、執行役員間で細かく検討する必要があるでしょう。

バーチャル株主総会事例の紹介

新型コロナウイルス感染症の影響もあり注目を集めているバーチャル株主総会。ここではいくつかの事例をご紹介します。

まず、「参加型」でのハイブリッド型バーチャル株主総会の事例を2つご紹介します。

1つ目の事例は「日本郵政株式会社」の株主総会です。コロナウイルス感染症の影響による外出自粛が出ていたことを考慮し、リアル株主総会会場の座席を大幅に減らし、リアルタイムでの動画配信を実施しました。ポイントとして挙げられる点は、自社サイトから株主総会を視聴することができ、事前の準備が不要という点です。しかし、オンラインで参加した株主は質問や発言ができないため、事前に質問受付フォームを用意して行われました。事前に寄せられた質問の答えは、株主総会後も参照できるように、公式サイト内で公開されています。

産業用ロボット開発を行っている「株式会社安川電機」も、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、ハイブリッド型バーチャル株主総会「参加型」で株主総会を行いました。ポイントとして挙げられる点は、オンラインで視聴できる対象を100株以上保有している株主に限定したという点です。視聴対象者は、事前に通知されているパスワードを使用することで株主総会をオンラインで視聴できます。また、リアルタイムで株主総会を視聴できない株主のために、株主総会実施後に期間限定にて、録画配信も実施しました。

次に「出席型」でのハイブリッド型バーチャル株主総会の事例を2つご紹介します。

企業向けにソフトウェア開発を行っている「アステリア株式会社」は、3密を避けるために、ハイブリッド型バーチャル株主総会「出席型」を実施しました。「アステリア株式会社」のバーチャル株主総会の特徴は、ブロックチェーン技術を活用し議決権の投票や質問を記録していくことで、投票の改ざんを防止できるところです。YouTubeLiveを使用してオンライン配信を行い、特殊なアプリが無くてもスマホやパソコンから手軽に視聴することができるよう工夫されました。

株式会社ガイアックス」は、法律上の成立条件を確認しつつ、Zoomミーティングによるハイブリッド型バーチャル株主総会「出席型」を実施しました。特徴は、急なハイブリッド型バーチャル株主総会への変更だったため、電話窓口を設置したところです。電話による株主からの質問に随時返答し、本人確認を行った上で参加手順を説明しました。そして株主総会の会場のスクリーンに、オンライン配信からの参加者が映し出され出席者の様子が分かるように配慮されたことも特徴の一つです。

まとめ

この記事では、バーチャル株主総会のメリットとデメリット、そして開催時のポイントや注意点について徹底解説してきました。過去に実施した事例を見ると、バーチャル株主総会のイメージを持つことができたのではないでしょうか。

ハイブリッド型バーチャル株主総会でも、「参加型」と「出席型」に分かれていて、ポイントや注意点が異なります。さらに、現在では、バーチャルオンリー型株主総会も可能です。物理的な会場を準備する必要はなくなり、インターネット等によって、株主も役員も遠方から参加できるような株主総会を開催することが可能です。自社に合う開催形態を選択して、効果的な株主総会を実施されることを願っています。

バーチャル株主総会開催のご相談は株式会社ITreatまで

株式会社ITreatでは、医師会・セミナー・シンポジウム・イベント等をはじめとするライブ配信サービスを提供しております。ハイブリッド配信にも対応可能で、目的に合わせてオールインワンでご提案させていただきます。
全国どこでも出張可能で無料お見積もりも受け付けております。バーチャル株主総会の開催を検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。

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執筆者

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株式会社ITreat

エンジニア/映像クリエイター

学生時代からApple製品をはじめとするガジェット類をこよなく愛し、デザイン/コーディングや映像制作を独学で学ぶ。その後Web業界に飛び込み、2020年に株式会社ITreatに入社。ディレクター職を経て、現在はエンジニアとライブ配信事業/映像制作事業を担当する。

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