学会委託代行とは?委託できる業務や費用例、業者の選び方を徹底解説
最終更新日:2024/05/14
公開日:2023/09/25
学会事務局の運営を業者に委託できることをご存じでしょうか。学会員が増えるほど管理する事務局の運営は複雑になっていきます。しかし、学会の事務局運営を業者に委託代行することで、そのような問題を解消することが可能です。
この記事では、学会の事務局運営を業者に委託するメリットとデメリットや、委託できる業務内容、費用や業者を選ぶポイントなどを徹底解説します。学会の事務局における業務の委託代行を検討されている運営者または担当者は、ぜひ参考にしてください。
学会の事務局運営を委託代行するメリット
学会の事務局運営を業者に委託代行することで得られる、主な4つのメリットをご紹介します。
- 事務局のコスト削減
- 業務の効率化
- コストパフォーマンスに優れたサービス
- セキュリティ対策
事務局のコスト削減
学会の事務局運営を業者に委託代行するメリットの一つに「事務局のコスト削減」があります。学会の事務局における業務には、事務スタッフの採用、教育、マネジメントなどの費用がかかります。そのような目に見えない費用のほかにも、専従者への給料、施設費などの固定費も、事務局運営に必要な費用です。
学会の事務局運営を業者に委託代行すれば、事務局自体を外部に設置することになるため、事務局運営に必要な経費を大幅に削減できます。事務スタッフの採用や教育、マネジメントも委託業者がすべて行ってくれるため、学会責任者は、より重要な業務に時間を割くことができるでしょう。
業務の効率化
学会の事務局運営を業者に委託代行すれば「業務の効率化」を図れます。専属の従業員を雇うと、業務量に関わらず一定の固定費がかかります。しかし、業者に委託代行することで、これらの人件費や固定費などの費用をまとめて業務委託費として取り扱うことが可能です。
業務委託費は変動費なため、比較的業務量が少ないときはコストを減らし、逆に業務量が多いときには委託範囲を広げることができるでしょう。状況に応じて、業務費用の調節ができます。また、スタッフの採用における面接や採用、教育などを業者に委託することで、業務の効率化につながります。
コストパフォーマンスに優れたサービス
学会の事務局運営を委託代行する場合、業界に特化した業者のプロの専属スタッフが業務に当たります。そのため「コストパフォーマンスに優れたサービス」の提供が可能です。運営や問い合わせの対応が安定し、情報や金銭などを一元管理できるため、ミスを最小限に抑えられます。
法人化した学会においては、事務局運営を専門の業者に委託することで、法令や論理に従った業務の遂行がスムーズになり、運営に安心感が生まれます。
セキュリティ対策
学会の事務局運営を業者に委託代行することは「セキュリティ対策」の面でもメリットになります。学会事務局は、大勢の個人情報を取り扱います。個人情報の遵守は、学会の信頼性に大きく関わるため慎重に取り扱うべき事柄です。学会事務局代行会社のほとんどは、個人情報保護の取り扱いに徹底しています。
また、セキュリティ面での業務を含む多くの業務が、学会の事務局運営に関わっています。スタッフの負担を解消するためにも、業界と学会運営に精通したプロのスタッフを擁する委託代行業者に依頼することをおすすめします。
学会の事務局運営を委託代行するデメリット
学会の事務局運営を委託代行するデメリットを考慮すると、失敗のリスクを避けられます。
学会の事務局運営を委託代行するデメリットを3つご紹介します。
- 費用面
- 代行業者による対応の質
- 業務の引き継ぎ
費用面
学会の業務を業者に委託代行するデメリットの1つに「費用面」があります。委託する業務が増えれば、その分費用が増大します。それぞれの学会によりニーズは異なるため、委託代行費用も異なります。しかし、一般的に学会の業務を業者に委託代行するためにかかる費用は、「学会規模」×「委託業務範囲」で決まります。業者により、必要な業務だけを委託している場合もあり、依頼する内容に応じて見積もりを取ることをおすすめします。
代行業者による対応の質
「代行業者による対応の質」に関しても、事前に考慮しておく必要のある事柄です。実際に業務を委託してからでないと、業者によるお客様(会員、または会員になろうとしているターゲット)への対応の質はわかりません。委託してみたものの失敗するリスクもあるため、事前に業者を見極める必要があります。
業務の引き継ぎ
学会の業務を委託代行するデメリットに「業務の引き継ぎ」に関する事柄があります。学会の業務を委託する場合、既存の膨大な会員情報を業者に引き継がなければなりません。その引き継ぎの際に要するパワーは膨大なものです。電子データではなく紙ベースの書類などの場合、委託の際に要する手間はさらに増えます。また、一度業者に委託すると、上記のような理由から、別業者に乗り換えづらい面もあります。
学会の事務局運営代行で委託できる業務
学会の事務局運営代行で委託できる業務にはいくつかあります。
その中の4つの業務をご紹介します。
- 事務局の運営
- 学会誌などの印刷業務
- 学術大会の開催
- その他(Webサイトの制作など)
事務局の運営
学会の事務局運営代行で委託できる業務の一つに「事務局の運営」があります。事務局運営において定型的に発生する業務や非定型的に発生する業務を代行してくれます。
たとえば、定型的な事務局の運営に含まれる業務は、以下の通りです。
- 会員管理(会員情報登録・変更、入退会処理、個人情報などの取り扱い業務)
- 会費管理(会費受付・請求などの業務)
- 会計業務(出納管理、口座管理、会計帳簿作成、会計報告、税務処理、財産管理などの業務)
- 受付窓口(各種問い合わせの受付などの業務)
事務局の運営における定型的に発生する業務を代行サービスに委託することで、学会責任者は、より重要なコア業務に専念できます。
学会誌などの印刷業務
学会の事務局運営代行サービスは、学会で発生するさまざまな印刷業務も代行してくれる業者もあります。たとえば、下記のような業務を委託することが可能です。
- 印刷物の作成・販売・保管・発注
- 投稿論文の受付
- 査読管理・編集
- 電子ジャーナルへの掲載
学会では、さまざまな印刷物を管理しなければなりません。たとえば、論文、抄録集、レジュメ・セミナー資料、学会プログラム、ポスター、横断幕や垂れ幕、名刺・名札、参加証、封筒などがあります。
学会業務において印刷業務は大きな割合を占めるため、印刷業務を外部に委託するなら、大きな負担削減につながるでしょう。
学術大会の開催
学会事務局の委託代行サービスは、学術大会の開催もサポートしています。主に委託可能な業務は以下の通りです。
- 企画運営(学術大会の企画サポート)
- 開催案内(メール、Webサイト、ポスターなどで開催の告知)
- 募集受付(申込受付システムの構築、リアルタイムでの管理)
- 会場手配(会場予約、会場レイアウト作成、経費の見積り)
- 資料作成(大会の際に必要となる資料、テキスト、抄録集などの作成と印刷)
- 当日の運営(当日の受付業務、会場案内、会場設営、司会進行などの各種業務)
上記の業務を代行サービスに委託することで、学会責任者の負担は大きく軽減され、より重要な業務に注力できるでしょう。
その他(Webサイトの制作など)
下記の業務も代行可能です。
- Webサイト構築や管理
- 各種委員会運営や管理
- 庶務業務
Webサイトを構築し運営すれば多くの関係者に情報を提供でき、学会を成功させることができます。集客面で重要なWebサイトの制作を代行サービスに委託することは、学会責任者の負担軽減につながります。
学会事務局の委託代行にかかる費用例
学会事務局の委託代行にかかる費用をご紹介します。学会の事務局運営を委託代行するためにかかる費用は、学会規模×業務範囲で決まります。また、必要な業務だけを委託することも可能です。
学会の事務局運営を委託代行するためにかかる費用例を記載します。ぜひ参考にしてください。(会員300人、期間1か月、ランニングコストのみ)
代行 | 規模 | 月額 | 対応業務 |
---|---|---|---|
事務局運営代行 | 300人規模 | 200,000円~ | 問い合わせ業務、会員管理業務、資料・備品などの発送管理業務 |
1,000人規模 | 500,000円~ | ||
学会誌印刷代行 | 1,000部 | 700,000円前後 | |
ホームページ制作・更新 | ホームページ制作 | 1回300,000円~ | |
ホームページ更新 | 1月10,000円~ | ||
学術大会開催代行 | 2,000,000円~ |
※それぞれ税抜価格
学会事務局の委託代行業者を選ぶポイント
学会事務局の委託代行業者を選ぶポイントを5つご紹介します。
- 委託代行費用
- 委託したい業務範囲
- 委託代行業者の実績
- 委託代行業者の提案力
- アウトソーシング事業の割合
委託代行費用
学会事務局の委託代行業者を選ぶポイントの一つに「委託代行費用」があります。委託代行費用は、「学会規模」×「業務範囲」で決まります。
各学会のニーズにより委託範囲は大きく異なるでしょう。そのため、ホームページなどに掲載されている費用はあくまで業界においての選考基準の一つと考え、その他の基準と合わせて冷静に見極めていくことをおすすめします。
委託したい業務範囲
委託代行業者を選ぶポイントに、代行業者が「委託したい業務範囲」に対応しているかどうかがあります。委託できる業務範囲は業者によりさまざまです。
たとえば、学会の事務局運営代行といっても、印刷業務だけ対応している業者や学術大会などの参加受付システム提供を行っている業者などがあります。事前に、自分が委託したい業務に対応している業者かどうかを確認しましょう。
委託代行業者の実績
「委託代行業者の実績」も、学会の事務局運営代行業者を選ぶときに考慮したいポイントの一つです。さまざまな代行実績を持っている業者は、信頼できます。
実績があるなら業務内容に変更が出たときや、トラブルが発生したときに冷静に対処してくれるため、学会運営が安定するでしょう。
委託代行業者の提案力
委託代行業者を選ぶポイントに「委託代行業者の提案力」があります。初めて学会の事務局運営を委託する場合、委託業務範囲や委託代行費用に悩むこともあります。そのようなとき、委託代行業者が的確な提案をしてくれると心強いでしょう。
委託代行業者の提案力を見定めましょう。委託代行業者が提案書の内容をただ了承するだけではなく、業界に精通したポイントをおさえた質問や提案をしてくれるかどうかで、委託代行業者の提案力を見定めることが可能です。
アウトソーシング事業の割合
委託代行業者を選ぶ際「アウトソーシング事業の割合」を事前に確認しておくことも重要です。委託代行業者の中には、学会事務局代行業務がメインでない業者があります。この場合、本業の業績や展開に合わせて、自社都合でアウトソーシングを放棄してしまう恐れがあります。
また、アウトソーシング事業は高コストとの理由で、学会事務局代行業務を打ち切る可能性もあるため注意が必要です。しかし、学会事務局代行業務がメインでなくても、アウトソーシング事業を本格的に展開しているなら、継続的なアウトソーシングサービスを期待できます。
まとめ
この記事では、学会の事務局運営を業者に委託するメリットやデメリット、委託できる業務内容、費用や業者を選ぶポイントなどを徹底解説してきました。
学会員が増えるほど管理する事務局の運営は複雑になっていきます。しかし、委託代行業者に学会事務局運営を委託することには、事務局のコスト削減、業務の効率化、セキュリティ対策などのメリットがあります。
学会の規模や委託範囲により委託代行費用は異なるため、まずは見積もりを取ることをおすすめします。
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執筆者
株式会社ITreat
執行役員・Webディレクター
大手人材系企業で医療業界のキャリアコンサルタントとして勤務したのち、ITベンチャーへ転身。現在は株式会社ITreatの執行役員として、主に病院やクリニックのWebサイト制作、採用課題の解決、SEOコンサルティングを行う。キャッチコピーは「関わるすべての方とのWin-Winを作る」。
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